表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

     ~死因検証①~

 さて、『事実は小説よりも奇なり』と母親が言ったとおり、まさしく事件は小説よりも奇奇怪怪なりである。


 なになに? 文章がめちゃくちゃだって? 


 そこはそれ、お遊び程度に流して欲しい。




 では、事実はどうであったのかを検証してみよう。


 まずは庭先に転がり捨てられた被害者に話を聞いてみたい。




 一体何があったのか?




「何があったかですって? 


いまさらそんなことを聞かれてもねぇ。


ちょっと待ってちょうだい、頭に三角の布をつけないと死んでるんだか生きてるんだか分からないでしょ」




 なかなか器用ですね。それにしても、どれが手なんでしょうか?




「細かいことは聞かないでいただきたいわね」




 失礼しました。


 まずはお名前から。




「わたし? ゴキ子よ。


人間は私たちを見るとキャーキャー騒ぐけど、こっちだって人間を見たらキャーキャー騒ぎながら逃げ惑うのよ」




 やっぱり、キャーキャー言ってるんですか?




「当たり前じゃない。


相手は私たちを気持ち悪いとか言うけど、こっちとしては生死に関わる事態なんだから。


それにしても人間ってヤツは勝手よね」




 何ででしょうか?




「だって、カブトムシやクワガタは高いお金を払って買って、虫かごに入れて大事にするじゃない。


ところが同じ形の私たちを見るとスリッパを持って追いかけてくるのよ。


中には殺虫剤かと思ったら、台所の洗剤をかけようとするやつもいて、部屋中洗剤だらけよ。


後で掃除が大変だとかって考えないのかしらね。


別に私が掃除するわけじゃないからいいけど」




 カブトムシとゴキブリが同じだとおっしゃいますか?




「ちょっとー、どこが違うのよ。


真っ黒な羽と茶髪。


カブトムシよりおしゃれじゃない」




 カブトムシには立派な角があるのですが、あれはなんだと?




「切ってしまえば私たちと変わらないわよ」




 かなり乱暴なご意見ですが。




「それに私たちの方が多産系。


子孫繁栄。


カブトムシのように数が少ないなんてことはないから、どこにでもいるのよ。


もっと大事にされてもいいじゃないの」




 数が多いのが問題かと。




「だったら人間だって数が多いんだから、問題でしょ」




 そうなりますか?




「そうよ」




 話がそれてますけど、どうしてバックの中にいたんです?




「あぁ、その話? あれはねぇ。


さっきいやらしく笑っていたトラ猫がいたでしょ。


やつのせいよ」




 トラ猫ですか?




「そうよぉ。


あの日は、雨が降ってて、なんだかいやな予感がしたのよ」




 すいませんが、あの日と言うのはいつのことですか?




「5日くらい前ね」




 5日くらい前と言いますが、ここ2週間ほど雨らしい雨は降っていないのですが。




「いやねぇ、雨だったと言ったほうが、感じが出るでしょ。


生死を分ける壮絶な戦いがあった日に、


誰もが幸せになるような最高のお天気でしたなんて、


物語にもならないじゃないの」




 そういうものですか?




「決闘シーンに風が吹くのと同じよ」




 よく知ってますね。




「テレビは見てたからね」




 え! テレビがゴキブリ社会にも普及してるんですか?




「電気代が払えると思ってるの? 


テレビは人間が見てるときに、物陰から見てるのよ。


だから、つまらない番組のときは困るのよね。


チャンネル変えてくれっていえないじゃない」




 それは確かにいえませんね。




「だから、雨だったわけよ」

 



 はい、では雨ということで。



毎日12時に更新してます~


コメントもらえるとうれしいです^^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ