相合傘
家に帰った僕は早速、母親に便箋と封筒を貰う。
母親は『ラブレターでも書くの?』と笑いながら言う。
年賀状すらギリギリにならないと書かない
僕からいきなり、便箋と封筒を頂戴と言われるとは
夢にも思わなかっただろう。
そして興味津々だったに違いない!
とりあえず何とか封筒を手に入れ、小学4年生の少ない
ボキャブラリーを全て使って手紙を書いたと思う。
とても今は恥ずかしくて見れたもんじゃない。
ただ今と余り変わりないのは『全て直球勝負』だった事だろう。
最近は白黒つけないのが多いけど、
白黒つけないとスッキリしない性分だから仕方ない。
まぁ、それはさておき、僕は精一杯の気持ちを
込めて希ちゃんに手紙を書いた。
しかし翌日、意外な事で僕は話題の中心になる。
翌朝、学校に行くと黒板に大きな相合い傘があり、
相合い傘には自分と梅野の名前が書いてあった。
多分、昨日公園に一緒にいたところをクラスメイトに見られたんだろう。
同じクラスの男女が二人きりで話しているだけで冷やかされるのだから、
別々のクラスの男子と女子が話す事は、尚更大きな話題になりこの結果!
僕はクラスのみんなから冷やかされる中、
『なんだよ~!』と言い、黒板の相合い傘を消す。
一緒に帰る、二人で話す、それだけで二人は付き合っている、
子供ならではの公式が成り立つ。
この相合い傘を書いたのは何となくだがわかっている。
飯島学、3年生の時も同じクラスだった。
確か、学は梅野の事が好きだった。友達から聞いた事がある。
僕と梅野が仲良くしている事が気に食わないのだろう。
子供のヤキモチは時としてこのようなカタチで出て来る。
僕はこの事は今日中には、梅野のクラスでも広がるだろうと思った。
『ほんと気まずい・・・』
梅野の顔をどんな顔して、見るべきか。
休み時間になって、僕はとりあえず梅野のクラスに行こうと
教室を出ると、そこに梅野は立っていた。
梅野は僕の顔を見るなり、『噂になっちゃったね。』と笑顔で言う。
『怒ってないの?』と聞くと、
『なんで怒らなきゃいけないの?』と言うので、
とりあえず僕は安心した。
こんな時の梅野は僕よりも男らしい。
でも今考えれば梅野が怒る理由なんてないはずだけど、僕もまだ子供だったから。
でも無意識のうちに、僕達は少しずつ距離をとっていった。




