知られていた真実
僕は三日ぶりに登校した。
周りは完全に受験間近の緊張感のあるムードが漂っている。
『良太、ちょっといいかな?』
『どうした?』
休み時間に有紀が僕を呼んだ。
僕は希ちゃんの事は聞かれるまでは自分からは言わないと決めていた。
『良太、体調悪かったの?今の時期に三日間も休むなんて…。』
『あぁ。』
『希ちゃんの事なんだけど…。』
『うん…。』
『ニュースで見たよ。』
『えっ?』
『「えっ?」って良太知らなかったの?』
『えっと、ニュースに出たの?』
『希ちゃんの名前、出ていたから…。』
被災して犠牲になった人達はわかる範囲で名前が出る。
有紀はそれを見たのだ。
『坂井も知ってたのか…。』
『私だけじゃないよ…。奈津子も知ってる…。』
『梅野も…。梅野は何て言ってた?』
『信じないって…。平然を装っているけど、眼を見ればわかるよ…。
毎晩泣いているみたい。眼が腫れているもん。』
『そっかぁ…。』
『良太、体調はどこが悪かったの?もういいの?』
『実は…。』
僕は休んだ理由を有紀に話した。
希ちゃんが亡くなった事のショックで引きこもっていたという事を告げた。
有紀の顔がみるみるうちに紅くなっていく。
そして有紀は僕に思いきり、ビンタをした。
僕はなぜ、有紀にビンタをされたのか理解出来なかった。
そして戸惑っていた。
『突然なんだよ!』
『良太!なんで叩かれたかわかる?』
『えっ?』
『私も奈津子も良太は神戸に行ってひどい光景を見て、
ショックで体調崩してると思っていたよ。でも違った。』
僕は何も言えなかった。
『ただ現実から逃げてるだけじゃん!淋しいのは良太だけじゃないの!
それに本当は神戸なんて行って欲しくなかった、心配でしょうがなかった
奈津子の気持ちを考えたの?奈津子は今でもすごく良太の事を心配している。
そんな人が傍にいるのに…。』
そう言うと有紀は走っていった。
有紀の瞳にはうっすらと涙が浮かんでいた。
僕は放課後、梅野の教室に向かう。
既に数名の梅野のクラスメートが残っているだけで、
教室に梅野の姿はなかった。
僕はその中の一人の女子に梅野の事を聞いた。
『奈津子なら、もうとっくに帰っちゃったよ。』
そう言うと、その女子は『勉強の邪魔しないで』と言わんばかりに、
高校受験のテキストを開いて、また黙々と問題を解きはじめていた。
僕は教室を出て、梅野の姿を探す。
下駄箱を見たが、梅野は既に下校していた。
梅野の家に僕は走っていきチャイムを鳴らす。




