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道程

僕は朝一番の新幹線に乗り込む前に、立ち寄る場所があった。


一つは希ちゃんが思い出を封印した公園。


それと僕の事を待ってくれている梅野の家に立ち寄って、


梅野宛ての手紙をポストに入れ、僕は新幹線に乗り込み神戸に向かった。


新幹線も岡山までしか運行していなかった。


しかもスピードもいつもの半分以下。


本当の難解はこれからが本番だった。


岡山から神戸まで、どの位、距離があるのか?


全く検討がつかなかった。


親父が簡単にOKを出した理由もすぐにわかった。


中学生が岡山から神戸まで新幹線も止まっているのに


行けるはずがないと最初から読んでいた。


そうでなければ、授業もあるのに簡単に許すはずはない。


だけど親父の思いより、希ちゃんに対する思いが強かった。


神戸がどっちかわからないがとにかく神戸に向かう車を探した。


車を探し始めて一時間が経とうとしている。


簡単に被災地に向かう車なんて見つかりはしない。


自衛隊や消防車、警察は応援の為に神戸に向かうかも知れないが、


それらの車に乗せて欲しいなど言えるはずもない。


言ったら最後、福岡に逆戻りされてしまう。


その時、一台のトラックが僕の目の前に止まる。


ボランティアで神戸に布団や服を届けているトラックだった。


荷台に沢山の援助物資が乗っていたから、すぐにわかった。


僕は勇気を出して、運転席のドライバーに声をかける。


『すいません、神戸に行かれるんですか?』


『それがどうかしたんか?』


『僕、神戸に行きたいんです。電車も止まってるし、乗せてもらいませんか?』


『あかん、あかん。坊主、まだ未成年やろ?学校は行かへんのか?』


『未成年じゃないです。』咄嗟についた嘘だった。


『なんで神戸に行きたいんや。今、神戸は大変やぞ。』


『待ってる人がいるんです。その人に逢いに行く為に。』


『どないする?』


助手席に乗っている二十代後半位の女性に聞いている。


『ええんちゃう。兄ちゃん、被災地に待ってる人がおって、

その人に逢いに行くんやろ。ロマンチックやなぁ。』


『兄ちゃん、乗りぃな。』


『ありがとうございます。』


僕は頭を下げ、お礼を言うとトラックに乗り込んだ。


車内ではすぐに会話がはずんだ。


『おい、中坊。嘘ついてもすぐにわかるぞ。名前は?』


『えっ、良太です。』


助手席に乗っている女性も笑みをこぼしている。


『最初から丸わかりの嘘を言うもんじゃないよ。

でも嘘をついてでも神戸に居る人のところに行きたいんやろ?』


初恋の人、フラれた女の子なんて恥ずかしくて言えない。


『幼なじみなんですよ。』


『そうなんや、俺と綾も幼なじみや。』


『何言うと思ったら、あんたとは腐れ縁っちゅう奴や。』


『照れんでいいやんか。』


『あほが!良太あんまし近くにおると脳が腐るで!』


本当は仲がいいんだなっていうのが伝わる。


羨ましいとも感じた。


そんな会話を車内でしながら走っていると、少し経って渋滞が始まった。

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