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運命の日 1995/01/17

もちろん、今年だけはクリスマスもお正月も関係なかった。


『希ちゃんも頑張っているかな?』


たまにふと、『希ちゃん』の事を思い出してしまう。


僕は空を見上げた。


この広い空の下、きっと希ちゃんも同じ空を見上げているはずだ。


そして運命の日は訪れた。


1995年1月17日 AM5:46


阪神・淡路大震災発生。


その時間、僕はまだ夢の中にいた。


そして、この後テレビで惨状を目の当たりにする。


『良太、起きな!』


『う~、もう少し寝させて。』


『ほら、起きろって!』


無理矢理、僕の布団を剥ぎ取る。


『さむっ!なんだよ。あれっ?』


いつもの起こされ方とは違う。起こしに来たのは姉貴だった。


どおりで荒っぽい起こし方だと思った。


『あんた、もうすぐすると受験でしょ?気が抜けているじゃない?』


『昨日、徹夜したから・・・。』


『徹夜でゲーム?まぁ、いいわ。早くしないと遅れるからね。』


そう言い残すと姉貴は僕の部屋から出ていった。


ごそごそと起き、一階へ

階段を降りていく。


いつもなら台所に母親の姿が

あるのだが、今日に限っては

見当たらない。


『あれ、母さんは?』


『今、電話中。』姉貴はそっけなく僕に返事をした。


電話が終わったのか、母親が台所へ戻ってきた。


『どうだったの?』


『とりあえず被害もなく、何とも無いって。』


『まずは一安心だね、でも帰って来られるの?』


『一度東京に出て、それから羽田から戻るって言ってたけどね。』


『そっかぁ。』


『あのさぁ、さっきから何を話してるの?』


『良太、テレビ見てみなさい。』


僕はテレビのリモコンのスイッチを入れる。


テレビに映った映像は陸橋が倒れ、あちこちから


煙が立ち上ぼり、爆弾でも落ちたのかと思うくらいの酷い惨状だった。


『何、これ?何があったの?』


『地震よ。しかも物凄い地震。』


『どこであったの?めちゃめちゃじゃん。』


『神戸よ。さっき出張で京都に行ってるお父さんと話してたの。

京都もかなり揺れたみたいだけど怪我もなく、無事だって。

とりあえず一安心よ。』


『えっ!これって神戸?』


『そうよ。良太、あなた友達、神戸じゃないの?

バレンタインチョコや手紙とか送ってくれていた子。最近は無いけど。』


僕は愕然とした。希ちゃんが住んでいる神戸が壊滅している。


何もかもが地震の影響でめちゃめちゃに崩れ落ち、


至る所で火災も発生している。


僕は完全に目が覚めた。


二階にあがり、希ちゃんの住所を確認し、また一階に降りて、テレビを見た。


空からの中継はまさに希ちゃんが住んでいる家がある場所だった。


希ちゃんは無事なのか?


僕は服を着替え、顔を洗うと梅野の家に向かう。


梅野の家に着き、チャイムを鳴らす。梅野も慌てて出て来た。


『梅野、テレビ見たか?』


『うん、見た。希ちゃんの家に電話かけても繋がらないよ。』


もう梅野は泣いていた。


『泣くなよ、梅野。今みんなが電話してるから繋がりにくいだけだよ。

大丈夫だよ、きっと。』


『うん、わかった。とりあえず学校に行かなきゃ。待ってて。』


僕は梅野を待っている間、さっき言った『大丈夫』という


言葉を信じるしかないと思っていた。


飯島も有紀も僕達に合流すると僕と同じように梅野を励ました。


それは梅野だけじゃなく自分自身を励ます為にも。

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