ラストゲーム
前半を終えて、スコアレスドロー。
二回戦で既に死力を尽くした試合になっていた。
『前半は五分五分だったな。』
『あぁ、筑涼中も調子いいな。』
『でも、俺らも負けてないぜ。』
『あぁ、かなり押し込んでいたからな。』
『後半もカウンター狙いでいくか?』
『今はカウンターが機能してるからな。』
『じゃあ、今までやってきた事をしよう。』
『はい、キャプテン。いつものこれ食べて後半も頑張って!』
『サンキュー、梅野!みんな、マネージャーから特製のはちみつレモンだぜ。
これ食べて頑張ろうぜ!』
『おぉ!』
全員の連帯感が増し、そして全員で円陣を組む。
『負けられない。』
ただその一言に尽きる。僕らはグラウンドに出ていった。
『希ちゃん、いよいよ後半だね。』
『うん、どっちも強いよ。』
『でも、勝つのは良太達だよね。』
『うん、きっと。勝ってもらわなきゃ!』
有紀の心境は複雑だった。勝っても負けても・・・
言葉が上手く出てこない。
勝っても、負けてもこれがラストゲーム。
そして終わらないゲームなんてこの世には存在しない。
始まりがあれば終わりがある。
その言葉の意味が今は痛いほどよくわかる。
『あっ、有紀ちゃん。みんな出てきたよ。』
『うん。勝っても負けてもラストゲームだね。』
もう有紀は涙を堪え切れない。
『有紀ちゃん・・・。』
『ごめん、希ちゃん。』
『ううん、いいよ。私、後悔はしないから。』
グラウンドにラストゲームの合図の笛が響いた。
筑涼中も後半勝負と考えたのか、前半の4-4-2の
システムを変更し、3-4-3の布陣を敷いてきた。
前半の中盤から終了間際まで僕らが押していたのだけれど、
後半は圧倒的に五十嵐達がゲームを支配していた。
『やっぱり手強いな。』
『まぁな、容赦ないくらいにベストメンバーだしな。』
『でも、その分倒し甲斐はある訳だ。』
『良太らしいな。』
『何がだ?』
『倒し甲斐があるって思うとこだよ。』
『そっかぁ、でも倒さなきゃな!』
『あぁ、そうだな。』
言葉とは裏腹に、筑涼中の猛攻は続く。




