キックオフ
試合当日。
何とも言えない緊張感が僕らを包み込む。キックオフまであと15分。
『今日は絶対に勝つぞ!』
飯島はいつも以上に緊張しているせいか、声に力が入っているのが、
手に取るようにわかる。
部員達にも、その緊張感がよく伝わっている。
『飯島。』
『何だよ、良太。』
『普段通りのサッカーをしようや。』
『普段通りの?あぁ、もちろん。』
『緊張してるのが、もろに伝わるぜ。』
『うるせぇ~!』
この会話で全員の緊張が少しはとれたような気がした。
『じゃあ、円陣組もうぜ!マネージャーも入れよ。』
『うん。』そう言うと梅野も円陣に加わる。
僕等は気合いを入れ、グラウンドに向かう。
僕はグラウンドに向かう前に梅野を呼んだ。
『勝つからな。』そう言うと梅野は笑顔で頷いた。
『おはよう、有紀ちゃん。』
『あっ、希ちゃん。おはよう。』
『もうすぐ試合だね。』
『うんうん。』
『良太君の試合、久しぶりに見るから緊張するなぁ!』
『あはは、試合前からそんなに緊張すると持たないよ。』
『それもそうだね!』
『有紀ちゃんは、試合見た事ある?』
『うん、何度かね。練習試合ばかりだから本試合は今度で3度目。』
『3回も見れるなんて、うらやましいよ。サッカー好きなの?』
『うん、好きだよ。好きになったって言うのが正解かも!』
『そっかぁ!私もそうかも!』
『同じだねぇ!』
『うん、そうだね!』
『そろそろ始まるから行こうか。』
『うん、行こう。』
グラウンドに出ると、既に筑涼中のメンバーは
軽くウォーミングアップをしていた。
もちろん五十嵐も、顔つきから気合いの入った感じが試合前から伝わる。
『よぉ、五十嵐。』
『良太か、いよいよだな。』
『あぁ。』
『楽しい試合にしようぜ。』
『もちろん。』
五十嵐と握手をすると審判が呼ぶ声がした。
コイントスが行われ、飯島と五十嵐が握手をし声を交わす。
整列が終わり、挨拶を済ませるとお互い自陣へ散って行く。
キックオフの笛が今、響いた。




