決戦前の贈り物
『あっ!希ちゃん!』
『えっ、希ちゃん?あの希ちゃん?』
『うん。希ちゃん!』
奈津子は思いきり手を振った。
奈津子に気付いたのか、希ちゃんも手を振りかえしながら、
奈津子のとこにやってきた。
『希ちゃん、いつ帰って来たの?』
『今日だよ。夏休みに入ったから、良太君頑張ってるね。』
『最後の年だからね。あっ、希ちゃんに紹介するね。友達の坂井有紀ちゃん。』
『はじめまして、有紀です。』
希ちゃんの存在に有紀は緊張していた。
『はじめまして、谷本希です、よろしくね。』
『それと次の対戦相手の筑涼中の五十嵐君と
マネージャーの光井さやかちゃん。』
『五十嵐です、よろしく!まさか梅野さんも知ってる人とは思わなかったよ。』
『筑涼中でマネージャーやってる光井です。よろしくね!』
『よろしく、光井さん!五十嵐君は私、知ってるよ!』
『えっ、何で?』
みんなの視線が希ちゃんに向けられた。
『名前まではわかんなかったけど、小学生の頃、良太君と一緒に
サッカーをやっていなかった?』
『してたよ!同じチームで!しかも同じフォワードで!』
『やっぱり!』
『もしかして、小学生の頃、梅野さんと二人で試合を見に来てくれてた?』
『うん!何となく面影あったし、同級生くらいと思ったから、
ここの場所を聞いたの。』
『そっかぁ~!』
5人はお互いの顔を見合わせながら、笑い出した。
人と人の繋がりは意外なところでも繋がっている。
5人が笑っているところに飯島が駆け寄ってきた。
『なんだ?五十嵐、偵察か?』
『飯島、今更偵察しても、意味ないだろ?』
『まっ、そうだな!あれっ、新しいマネージャーさんを連れてきたのか?』
『飯島、何言ってるの?』
『何だよ、坂井。』
『はじめまして、谷本希です。』
『あっ、どうも。』軽く会釈をする飯島。
『飯島、良太は?』
『良太なら、今アイシングしてるよ、もうすぐ来ると思うけどね。』
『梅野さん、坂井さん、じゃ、良太をびっくりさせようぜ!』
『うんうん!希ちゃん。私達の後ろに隠れて!』
飯島は何が何だかわからずキョトンとしている。
アイシングを終えて僕はみんながいるところに行った。
『あれ、何だ?五十嵐、来てたのか?』
『まぁな!』
『梅野、俺のタオル取ってくれない?』
『良太、マネージャーだろ?何でマネージャーと呼ばないんだ?』
『その呼び方が慣れてるからな。って何で五十嵐に説明しなきゃいけないんだ?』
『アイシングしてたの?脚?また捻挫?』
『違う、違う!クールダウンしていただけだよ。』
『タオルってこれ?』
『あっ、光井さん、申し訳ない!もぅ、梅野が取ってくれないから~!』
『だって、動けないんだもん。』
『はぁ~、それに坂井まで、どうしたんだ?』
『そろそろいいかな?』
『いいんじゃない?』
『お前ら、何言ってるの?』
『じゃあ、いくよ!』
『うん!せぇ~の!』
一瞬、夢を見ている感じがした。
目の前が煌めいた気がした
夢じゃないと心から祈った。




