決戦前日
真夏の日差しが痛いくらいに感じる七月。
何もしなくても汗ばむ季節。もう今年も半分が過ぎた。
目の前に受験という山が見えてきたが、僕らには
まだ遠く向こうに見えている感じだった。
今、目の前にあるもの。
それは中学三年間の集大成、中体連での試合のみ。
これが終わると一気に、高校受験という山が目の前に現れてくる。
僕らは初戦は無事に1対0という僅差のゲームを制したが、
二回戦で早くも、筑涼中と対戦する事となった。
ドラマだったらライバルとの決戦は決勝戦で雌雄を決するところなんだけど、
ドラマみたいに上手くいかないのが現実の世界。
筑涼中との対戦は明日。
僕らは今更ジタバタしても反対に怪我をするほうが大変だと思い、
軽目の調整を続けていた。
『よし、あとはランニングでもして上がろう。』
『キャプテン、シュート練習しなくてもいいんですか?』
『あぁ、身体をほぐしておいて、ベストな状況で試合に臨んだほうが
いい結果出るんじゃないか?なぁ、良太。』
『まぁ、怪我して最悪なコンディションで試合に出るよりはいいからな。』
『そっかぁ!』
『じゃあ、軽目にグラウンド10周な。』
グラウンドの横で梅野と有紀が話している姿を見ながら
僕らはグラウンドを走り始めた。
『いよいよだね、奈津子。』
『そうだねぇ。』
『勝てるよね!』
『うん、もちろんよ、有紀!』
『よぉ、お二人さん。』
背中から聞き覚えのある声が聞こえる。
『五十嵐君、偵察?』
『まさか、今更偵察来ても遅いでしょ!』
『梅野さん、坂井さん、こんにちは!』
『光井さんも来てたんだ!』
『一応、偵察に来ておかなきゃね!』
『五十嵐君、やっぱり偵察じゃない。』奈津子と有紀は笑う。
『それがメインじゃないって!』
『どういう意味?』
『あれ?彼女は?』
五十嵐はキョロキョロしている。
『彼女って誰よ、光井さんじゃないの?』
『いやいや、良太に会いたいって女性だよ。』
奈津子と有紀は驚いている。
『えっ、一体誰よ。』有紀は五十嵐に言う。
『さやか、彼女は?』
『もう、あそこで見てるよ。』
さやかは渡り廊下の柱のほうを指差した。
『えっ!』
奈津子は言葉を失った。
『えっ、どこよ。誰なの?』
有紀はさやかが指差す方向をキョロキョロと見ている。
『あれ、誰?』有紀は奈津子に聞く。




