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審判の時

診察と検査を終えて、僕は梅野と有紀のいる待合室へ戻った。


『どうだった?』2人揃って言う。


『どうだったって。』


『一体どうだったの?』


『2人共、怖いんだけど。』


『何が怖いのよ!』


『まだ結果は出ないんだけど。』


『えっ?』


『普通そうだろ?すぐに結果出るわけないだろ?

検査して、それからだろ?心配しなくても、もうすぐ出るから。』


『それもそうね。』


『わかってくれて何より。』


『でも、結果は私達も立ち会うからね。』


『マジで?』


『マジで!』


もうすぐ審判がくだる。内心、不安で仕方なかった。



『宮内良太さん、5番診察室へお入り下さい。』


待合室で待つ事30分、いよいよ審判がくだる。


『呼ばれたよ、行こう、良太。』


『あぁ、わかった。』僕ら、3人は診察室に入る。


『あ、宮内さん。あら、そちらのお連れの方は?』


看護師さんが怪訝そうな感じで奈津子と有紀を見つめる。


『立会人です。』


『立会人?待合室で待っていられないの?』


『この人、結果がもし悪かったとしても

多分間違いなく健康ですって嘘をつく奴なので!』


有紀は看護師さんに捲し立てるように言う。


『おいおい・・・』


『だから、結果は私達も聞きたいんです!』


『2人とっては大切なお友達なのね。』


看護師さんは自分の顔を見てくすくすと笑いながら言う。


『そうです、同じサッカー部のマネージャーと同級生です。』


奈津子も看護師さんに必死に自分の立場を話す。


『あっ、そうなんですね。嘘はいけませんね。どうぞお入り下さい。』


看護師さんはにっこりと微笑みながら


奈津子と有紀を見つめて僕ら3人を診察室へ促す。


診察室には初老の医師が検査結果を見ながら待っていた。


『先生、サッカー続けられますか?』


『先生、良太の心臓大丈夫ですよね?』


梅野と有紀は先程の看護師さん同様、初老の医師にも矢継ぎ早に聞く。


『お二人共、落ち着いて下さいね。』


医師は梅野と有紀に諭すように言う。


『あっ、すいません。』なぜか私が謝っている。


『宮内さんはサッカーやられているんですね。』


『はい、そうです。』


『脈拍に特徴出てますよ。』


『脈拍に?』


『あまり乱れがないですね。』


『そうですか?』


『えぇ、それと心臓ですが・・・。』


審判の時・・・




『問題ないでしょう。サッカーも普通に出来ますよ。

また次回も心臓弁膜症と言われた時には、

また再度こちらへいらして下さい。』


『と言う事は?』


『2人も女性を心配させちゃいけませんよ。

心臓よりもそっちのほうが心配です。』


医師の言葉に看護婦さんも思わず笑い出した。


『あっ、すいません。ありがとうございます。』


思わず僕は謝ってしまった。


診察室を3人一緒に出て、僕はホッと肩を撫で下ろす。


後ろを振り向くと、梅野と有紀が仁王立ちで立っていた。


『どうしたの?』


『どうしたのじゃないでしょ!』


『えっ?』


『私達がどれだけ心配したと思ってるの!』


『あっ、どうもすいません。』


『でも、何ともなくて何よりね。』


『うん、さぁ心配した分、良太に帰りにおごってもらいましょ!』


『それいいね!そうしよう!』


『えっ!なぜ?』


『えぇ~じゃないでしょ!』


『はいはい、おごりますよ。』


『返事は一度でいいの。』


『はい!』


検査結果には納得できたのだが、それ以外は一つも納得出来なかった。


翌日から、僕はいつも通りに部活動に参加した。


そして全員の前で、心臓弁膜症の疑いが完全に晴れた事を話した。


その結果、もちろんレギュラー組の練習に参加した。


不安はもう何もない。


そして今年の夏には中学最後の大会が控えている。


このメンバーで出来る最後の大会が待っている。

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