大学病院待合室にて。
翌日、約束通りに僕は大学病院に行った。
梅野と何故か有紀が一緒に来た。
『あれ、坂井も一緒なのか?』
『私が居たら、何か問題ある?』
『いや、非常に心強い!』
『でしょ、わかってるじゃない、良太。』
でも内心、不安でいっぱいだった。
昨日あれだけの事を言って、結果やっぱり心臓弁膜症だったとなると、
またみんなを不安にさせてしまう。
『じゃ、行こう。』
僕は不安な気持ちを隠すように気丈に振る舞った。
受付が済み、待合室で名前を呼ばれるのを待つ。
先日、再検査をした病院で紹介状を書いてもらっていたので
大学病院でしっかり診てもらえる。早く不安を消し去りたかった。
『宮内良太さん、5番診察室へお入り下さい。』
『頑張って、良太。』
『梅野、何を頑張るんだよ。』
『それもそうね。』自然と笑みがこぼれる。
『行ってくるよ。』
『行ってらっしゃい。』
梅野と有紀が見送ってくれた。
僕は不安な気持ちはなかった。
既にどんな結果であれ、現実を素直に受け止めよう。
『良太、大丈夫かな?』有紀はぽつりと呟いた。
『きっと大丈夫だよ。』
『奈津子は強いね。』
『強くなんてないよ。』
『強いよ。』
『どうして?』
『もし、良太が心臓弁膜症だったら?』
『もし、そうだとしても私は変わらないよ。』
『本当に?サッカー出来なくなるかもしれないのに?』
『うん、サッカーしなくても良太には変わりないでしょ?』
『そうだね。』
『うん、でも・・・。』
『でも、本当は怖いよ。でも私がそんな気持ちでいると、
良太につたわっちゃうしね。』
『空元気?』
『そうかも・・・。』
『奈津子・・・。』
『今からそんな気持ちじゃ駄目だよね。』
『そうよ!良太なら大丈夫!』
『ありがとう、有紀。』
待合室で当時こんな会話がされていた事は僕は全然知らなかった。




