心音
『そして?』
『良太の居ないチームとは戦っても面白くない、
俺の言った事は信じなくてもいいけど、直接本人に聞いてみなよって。』
『そんな事、言ったのか。だから飯島は俺をトップ組から外したのか!』
『そうよ、実際に再検査の事、良太のお母さんにも聞いたんだから!
五十嵐君が言った通り、心臓弁膜症だなんて。』
『いつ、母親に聞いたんだ?』
『昨日、直接聞いたよ。聞かれた事は良太に言わないでって、
お願いしたけど。』
『だから、梅野、昨日部活休んでたのか。』
『そうよ、もう無理しないで。お願い。』
『梅野、俺は大丈夫だよ。明日、飯島に言ってトップ組に戻してもらう。
五十嵐と試合をやりたいからな。』
『心臓弁膜症なのに。心臓弁膜症の事、私も調べたんだよ!』
『梅野!俺は心臓弁膜症の可能性があるだけで、心臓弁膜症と
決まった訳じゃないんだよ!確かにその確率は高いかも知れないけど。
聞いてみろ!俺の心臓は元気に動いてる。』
僕はそう言うと梅野を引き寄せて、僕の心音を聞かせる。
梅野を抱きしめた事で、多少心拍数は上がったに違いない。
そして心臓は動いている。
しっかりとしたリズムを刻みながら。
『聞こえるだろ?』
『うん、聞こえる。』
『梅野、心配かけてごめんな。』
『うん、でも無理はしないで。』
『わかってる、でも何ともないから大丈夫だ。』
『良太、もう少しだけ、良太の心臓の音聞いててもいい?』
『安心するまで、しっかり聞いてくれ。』
梅野は目を閉じて、僕の心音を静かに聞いていた。




