見られた寝顔
『おじゃましま~す。』有紀がゆっくりドアを開ける。
『寝てる、寝てる。』有紀は奈津子に寝顔を指差して教える。
『かわいい寝顔じゃない?』
『そうかなぁ~?』
『そうよ~。あっ、奈津子。これが良太のお母さんがさっき言ってた
チョコじゃない?』
机の上に開けられた包みとチョコの横に手紙が添えてあった。
『あっ!』
有紀が思わず声を出した。
『びっくりしたぁ~、有紀、どうしたの?』
『あの子からだ・・・。』
『希ちゃんからでしょ?そうだろうと思った・・・。
だって郵送でチョコを届けるなんて、遠くからじゃないとしないと
思うし。』
『そうだね。』
『帰ろう、有紀。』
奈津子は部屋のドアを開けて出ていく。
『ちょっと待って、奈津子。』
奈津子の後を追うように有紀も、希ちゃんのチョコの横に
バレンタインチョコを置いて出ていった。
『あら、奈津子ちゃん達、もういいの?』
『はい、しっかり寝てるみたいだし、起こしちゃ悪いなって
思いましたし。』
『そぉ、あの子の寝顔なんて中々見れないから貴重だったでしょ?
本当に今日はワザワザありがとうね。良太には伝えておくから。』
『じゃあ、また来ます!』
『じゃあ、またいらっしゃい。』
奈津子と有紀は家を出てそれぞれ家路についた。
目が覚めて、僕は2階の自分の部屋から
1階のリビングへ向かうと母親がテレビを見ながらお菓子を食べていた。
『何か食べる物ある?』
『良太、熱は下がったの?』
『一応ね。それより何かない?』
『あんたチョコがあるじゃない?奈津子ちゃん達来たわよ。』
『えっ、梅野が?』
『えぇ、奈津子ちゃんと坂井さんって子。2人もお見舞いと
チョコ持って来るなんて、いつからそんなにモテるようになったの?』
『さぁ、昔からじゃない?』
『はいはい、じゃあお粥でも準備するわね。
でもしっかり2人に寝顔見られたみたいで。』
母親はクスクスと笑っていう。
『えっ!寝顔?部屋に来たの、あの2人!』
『えぇ、貴重だから見て行けばってね!』
『えぇ、マジかよ!』
『いつ彼女が家に来るかも知れないんだから、
部屋はいつもちゃんと掃除しておきなさいね!』
部活動が終わった後に、奈津子と有紀は僕の家に
お見舞いに来てくれたようで、母親が部屋に案内したらしいけど、
僕は風邪薬のせいで、2人が部屋に来てくれた時はすっかり爆睡していた。
つまり、完全に寝顔を見られたようだ。
なんか少し、いやかなり恥ずかしい。
よだれ垂れていなかったかな?
一応大事をとって、翌日も僕は学校を休んだ。
いつもだったら、この時間は英語の授業のはずだ。
最初は思いきり寝坊が出来ると喜んでいたが、
時間が経つにつれて、やる事がなくなり夕方には退屈でたまらなくなり、
明日は学校に行きたい気持ちでいっぱいになった。
寝顔の感想も聞かなくては・・・




