高熱のバレンタイン
家に帰ると、母親が学校から既に連絡があったせいか、
準備万端の体制で待ち構えていた。
『ちょっと、良太。薬は飲んだの?早くベッドで寝てなさい。』
『そうするつもり。』
『頭も冷やしておきなさい。あっ、今日良太宛に荷物届いていたから
机の上に置いているわよ、あとで見ておきなさい。』
その声を聞き、僕は自分の部屋に戻り着替えて、
布団に入る前に、机の上に置いている荷物を手に取る。
差出人は希ちゃんだった。僕はその手紙を手にとる。
メッセージカードを手に取り、中身を見てみる。
『ハッピーバレンタイン。良太君、チョコはちゃんと届いたかな?
奈津子ちゃんにからも貰えた?私は小学生の頃、渡せなかった
チョコを送ります。』
そう書かれてあった。
『ありがとう、希ちゃん。』
そう思うと、僕は手紙とチョコを机の上に置き、
そのまま薬の効果で眠りについた。
奈津子と有紀は放課後、飯島が部室から出てくるのを待っていた。
『よっ、飯島!』
『坂井、それと梅野までどうしたんだ?』
『いやぁ、モテない男子に愛の手をってね!
奈津子と私から、はい、バレンタインチョコ。』
『あっ、ありがとう。でもモテないは余計だ。』
『何、緊張してるのよ、当然義理だからね。』
『わかってるよ!』
『あれ、もう一人のモテない君は?』
『良太?良太なら早退したよ。熱が出たみたいだしな。』
『えっ、そうなん?じゃあ、帰りに寄ってく、奈津子?』
『う~ん、でも熱出してるんでしょ?悪いんじゃない?』
『預けるだけ、預けていこ。うん、じゃあ部活終わるまで待ってるね。
奈津子。』
『うん、わかった。』
そう言うと有紀は部室棟から出て行った。
『梅野、ありがとな。』
『御礼なら有紀に言ってね、有紀がチョコを買いに
誘ってくれたんだから。』
『そっかぁ、じゃあ坂井にもお礼言っておこう。
坂井って、案外いい奴だな。』
『案外じゃなくて、有紀はいい子だよ。』
『そうだな。』そう言うと、飯島はグラウンドに出て行った。




