見つからない答え
『おい、腕を組むのはやめてくれよ~。』
『えぇ~、何で?』
『腕組まなくても、手袋してるじゃん。あったかいだろ?』
『奈津子に見られると困る?』
『梅野は関係ないよ。でも恥ずかしいだろ。
他の誰かに見られて、噂にでもなったら大変だろ?』
『私はいいけどね!良太は照れ屋だね!』
『からかうなよ~。』
『わかった、わかった。腕組むのはやめる。』
有紀は組んでいた腕をほどいた。
そうしているうちに僕らは公園に着いた。
公園といってもブランコ、小さい砂場とベンチ、
くぐって遊べる大きな土管があるだけの小さな公園だった。
『公園に着いたじゃん。ここで食べようよ?』
『そうだね、ベンチに座ろうぜ。』
『良太~、ベンチよりこっちがいいよ。』
『そこで食べるのかよ。』
僕は有紀について行った。
『あれ、あいつら何処に行った?』
飯島と奈津子が参道入口に着いた時には2人の姿を見失った。
『確か、こっちの方に行ったよな。』飯島は奈津子に聞く。
『うん、多分。』
『大丈夫か?』
『えっ、何が?大丈夫だよ。』
『だったらいいけど。じゃあ、行こう。』
『うん。』
飯島は奈津子の足取りが急に遅くなったのを感じた。
参道から離れると今までの人込みは幻覚に感じるくらいに
道路は人通りは殆んどなく静けさに包まれている。
『寒くないか、梅野。』
『うん、大丈夫。ありがとう飯島。』
二人の目の前に公園が見えてきた。
『ここで食べるのかよ~。』
『ここだったら、寒い風防げるじゃん。』
『確かになぁ!』
僕らは土管の中に入り、足を曲げて座る。
『腕組んで欲しいなら、外で食べてもいいよ。』
『あはは、それはいいよ。ここで食べよう。』
僕らは露店で買ってきたイカ焼きとタコ焼きを
ビニール袋から出し、小さな土管の中で食べた。
ちょっぴりこの寒さで買ってきたものは冷えていた。
『ちょっと冷たくなっていたけど美味しかったね。』
『やっぱりイカ焼きはうまいや!』
『ねぇ、良太。良太は奈津子の事、どう思ってる?
私の事はどう思ってる?』
『何だよ、いきなり。』
『奈津子と私、どっちが好き?』
『えっ、どっちが好きと言われても・・・』
『私は良太が好きだよ。』
『ありがとう。』
僕はそう言うと俯いてしまった。
『良太は奈津子と私、どっちが好き?』
『わからないよ・・・』
『わからないって?』
『もちろん坂井の気持ちは嬉しいけど・・・』
『他に好きな人がいるの?』
僕はその問いに黙り込んでしまう。
『他に好きな子いるんだ。知らなかったよ!
私は良太はてっきり奈津子の事が好きだと思っていたよ。』
確かに有紀の言う事に間違いはなかった。
梅野との関係は日に日に深まっている感じていた。
でも僕の中にはまだ『希ちゃん』の存在がいた。
梅野もそれはわかっていたと思う。
『えっ、でも良太の好きな人って誰?』
『好きな人って言うか・・・』
『気になる人?』
『正確にいうとそうかも知れない。』
『えっ、誰?同じクラスの女子?』
『違うよ。』
『じゃあ、同じ学校の人?』
『ううん、違う。』
『だったら誰なの?奈津子は知ってるの?』
『うん、知ってるよ。今その子は神戸にいるよ。
小学3年の3学期に神戸に引越したけどね。』
『神戸?そんな遠くの人が好きなの?』
『年末に帰って来てたんだ。その時に俺と梅野と会ったんだ。
梅野はすぐに用事があって帰ったんだけどね。
梅野とその子は引越してからもずっと友達なんだ。』
『そうなんだ・・・』
そう言うと有紀も俯いてしまった。
『だから、わからないんだ。』
『でも、良太。それは奈津子には辛い仕打ちだよ。』
『わかってるよ。』
『もちろん、私にとっても。でも私は良太とこうしていたい。』
そう言うと有紀は身体を寄せてきた。
僕は有紀が身体を寄せてきた事に正直ドキドキしていた。
坂井有紀は間違いなく、学校でもトップクラスの美少女だ。
中学生とは思えない色気もあった。
僕は思わず土管から飛び出した。
僕が慌てて土管から出たから驚いたように有紀も出てきた。
そして僕と有紀は思わぬ光景を目の当たりにした。




