ハナレバナレ
境内が近くになるに連れて混雑は更に増してきた。
人波を掻き分けて、やっとの思いでおさい銭を
入れる事が出来る場所にたどり着いた。
後ろからも、おさい銭が引っ切りなしに飛んでくる。
『また逢えますように・・・』
僕達はお参りを済まし、顔をあげた時に
後ろの人込みから押され、僕と有紀、飯島と梅野、
それぞれ左右に離れてしまった。
しかも有紀はかなり強く後ろから押されたせいか、
前に倒れそうになった。
僕はそんな有紀を抱き抱えるように支える。
『大丈夫?』
『うん、良太ありがと。』
『飯島と梅野は?』
『反対側に押し出されたみたい。離れちゃったね。』
『あの人込みの中、逆流するのは無理だなぁ、
とりあえずはぐれたら入口で待てばいいし。』
『うん、そうだね。』
『足は大丈夫?』
『うん、少し捻っちゃったみたいだけど、大丈夫だよ。』
『じゃあ、行こうか?』
『うん!』
そう言うと、有紀は僕の手を繋いだ。
『痛っ!』
『大丈夫?飯島?』
『めちゃめちゃするなぁ!』
『いきなり後ろから押すなんて!』
『マジ、足首痛めるとこだったよ。』
『何ともない?』
『うん、サンキュー、マネージャー!あれ?良太達は?』
『あれ?有紀もいない、もしかして押された拍子にはぐれちゃった?』
『みたいだね、とりあえず、この場所から離れよう。』
『うん、それがいいね。』
梅野がそう言うと飯島は梅野の手をとり
人波が少ない境内の隅へ行く。
境内の人波は更に増し、完全に2組を引き離してしまった。




