新年の準備
風邪に苦しんだクリスマスも終わり、
あと少しで新しい年がやってくる。
クリスマス以降、僕と梅野の距離はかなり縮まった感じがする。
今までお互いの家に行き来する事はほとんどなかった。
僕は梅野の風邪のお見舞いを口実にして
特に用事はないのだが梅野の家に行っていた。
そして12月30日に再会は突然訪れた。
この日は年末年始の準備で家にいても、
掃除の手伝い、力仕事は男性陣に押し付けられる。
僕には姉がいるんだけど姉はそそくさと朝から遊びに行った。
僕はいつも部屋は比較的片付けているから、
簡単に窓を拭き、電灯の傘を拭き終わると後はやる事が無くなった。
一階に降りると母親が、バタバタと部屋中を駆け回っていた。
『良太、部屋の掃除は終わったの?』
『もう終わったよ。』
『じゃあ、このクローゼット抱えるの手伝ってよ。』
『えぇ、親父がいるじゃん!』
『お父さんは今、書斎片付けているから手を外せないから。』
『わかったよ。』
予想通りに力仕事が僕に巡ってくる。
『じゃあ、そっちを持って頂戴。』
『いくよ。』
僕と母親は親父のスーツやコートがかけられている、
クローゼットを抱えて動かした。
『これでいい?』
家にこのまま居たら、間違いなく一日拘束される。
そそくさと外出しようと試みた。
『良太、ありがとう。あんた今から出かけるの?』
『うん、ちょっとね。』
外出する用事はないが、とりあえずこの場を離れたい。
『あっ、そうだ。良太出かけるなら帰りに買物してきて。メモ渡すから。』
『えぇ~。』
全力で嫌な顔をしたが母親には通用しなかった。
『いいじゃない、別にすぐに買ってこいって行ってないんだから。』
『わかったよ、もう出掛けるよ。』
『じゃあ頼むわね。』
母親は買物リストのメモと三千円を僕に渡すと、
また掃除の続きをし始めた。
僕はとりあえず家からは出る事は出来たのだが行き先も目的も、
全く決まっていなかった。
でも余り考える必要はなかった。僕は梅野の家に向かった。
梅野の家の前まで来ると、僕はチャイムを鳴らした。
家の中から反応はなかった。
『あれ?留守かな?』
僕は二度目のチャイムを鳴らした。
やはり家から返事はない。
『留守かぁ、仕方ない頼まれた買物でもしてくるか。』
僕は梅野家からさほど離れていない商店街に向かった。




