天罰の高熱
翌日のクリスマス。
僕は本当に天罰が下ったかのように、
朝から38度の熱にうなされてしまった。
朝から飯島と有紀から立て続けに電話があった。
『飯島だけど、お前、風邪ひいたのかよ!何やってんだ!』
『もしもし、坂井だけど、良太も風邪ひいたの?』
飯島も坂井は心底呆れていた。
午後になると熱も随分下がってきて、
僕は自分の部屋で本を読んでいた。
一階から母親が僕を呼ぶ声がした。
『良太、お友達がお見舞いに来てくれたわよ。』
僕は部屋の扉を開けて階段の上から下を覗き込むと、
そこには飯島と有紀が立っていた。
『よっ、元気そうじゃん!』
飯島は部屋に入ってくるなりそう言うと、
部屋の中を見回している。
『もう熱は下がったの?』
有紀も飯島と一緒に入ってきた。
『もう熱は下がったよ。』
『良太と奈津子はほんと仲がいいよね~。』
有紀のその言葉に僕はドキッとした。
昨日の事を梅野が二人にもしかして話してる?
『二人揃って風邪だしな。』
飯島は有紀を見て言う。
『どうしたの?』
キョトンとしている僕を見て有紀が言う。
『あ、梅野も風邪ひいているんだ。』
僕は咄嗟にそう言うと有紀は顔を近づけ、
恐い顔で見つめる。
『私達、クリスマスイヴを一人淋しく
ゲーセンで過ごそうとした同級生を寒い中探してたのよ。』
『ごめん。』
『お前、謝るなら最初から来いよ。』
『悪りぃ!』
『おかげでこっちの計画丸潰れよ。』
『計画?』
『あはっ、気にするな!とにかく元気そうで何よりだ。』
『そうそう、初詣は4人で行くからそのつもりで!』
『わかったよ!』
飯島と有紀はその後10分ほど部屋を物色して帰って行った。
僕は二人が帰った後、梅野が心配になった。
『あいつ、熱は下がったかな?』
僕は家の電話の受話器をとった。
梅野の自宅へ僕は電話をかけたが、ワンコールしてすぐに切った。
もしかしたら、飯島と有紀が僕の所に来た後に、
梅野の家に寄ったかもと考えた。
そして、ワン切りを数回しまった。
今思えば、悪質なイタ電!(笑)
僕は5回目に意を決して梅野の家に電話した。
3回目のコールで電話を取ってくれた。
『はい、梅野です。』
電話を取ったのは梅野の母親だった。
『もしもし、宮内ですけど、奈津子さんいますか?』
『あっ、良太君?昨日は奈津子の事、ありがとうね。』
『いえ、熱あったみたいだし。』
『良太君は風邪ひいてない?』
『実はさっきまで熱が出て寝てました!』
『奈津子がうつしたんじゃない?大丈夫?』
『昨日キスしたから・・・』言える訳ない。
『簡単にうつされませんよ。もう熱も下がったし。』
『それなら安心ね。』
『お母さん、誰と話してるの?』
受話器の後ろから梅野の声がしている。
『あっ、奈津子だったね!ちょっと待ってね。』
『奈津子~、良太君から電話よ~。』
『えっ、良太から?』
『もしもし。』
『梅野、風邪の具合はどう?』
『まだ少し熱があるけど大丈夫。』
『良太、私の風邪うつっちゃったみたいだね。』
『たいしたことないよ。』
『もういいの?』
『熱も下がったしな!それより・・・』
『なに?』
『もう一回キスしてくれない?』
『はぁ?やだ!』
『あはは、元気にすぐなりそうだな!』
『ばかっ!』
『じゃ~な。』
『うん、電話ありがとう。』
そう言えば、飯島達は梅野のお見舞いに行ったのかな?
肝心な事を聞き忘れてしまった。




