思惑
『ねぇ、奈津子。』有紀が話かける。
『なに?有紀』
『今年のクリスマスは、本当にまだ予定ないの?』
『うん、本当よ。』
『飯島は?』
『えっ、何で飯島の名前出てくるの?』
『だって、河川敷で二人きりで話していたでしょ?
てっきりクリスマスの過ごし方を話しているかと思ってね。』
『クリスマスの話なんてしてないよ。』
『だったら何を話してたのよ~。』有紀は興味津々で聞いてくる。
『たいした話じゃないよ、部活の事。』
『本当に?二人きりで部活の事を?』
有紀は奈津子の事を疑いの眼で見ている。
『本当よ、有紀は疑い深いんだから~。』奈津子は笑顔でこたえる。
『そっかぁ、良太もクリスマスの予定ないって言ってたなぁ~。』
『良太?有紀、良太に興味あるの?』
『興味があるというか、なんかかわいいじゃん!』
『かわいい?良太が?』奈津子は思わず吹き出した。
『奈津子~、そんなに笑わなくてもいいじゃない!』
有紀は口を尖らせている。
『ごめんごめん!有紀が良太の事かわいいとか言うから~。』
『かわいいじゃん!照れ屋なとこもあるし~。』
『そうかなぁ?』奈津子は首をかしげる。
『奈津子は近すぎてわからないんじゃない?』
『近すぎるって?』
『小学生の頃から何かと良太と絡んでいたでしょ?』
『そうかなぁ?』
『そうよ、私は少し離れた場所から見てただけ。』
有紀はちょっと俯いた。
『有紀は良太の事好きなの?』
『まだわからない。でも好きかも?』
『そうなの!?』
『奈津子、そんなに驚かなくても・・・』
『ごめん・・・』
『奈津子、そんなに謝らなくてもいいから・・・
クリスマスは良太を誘おうかな?』
『えぇ~!?』
『また奈津子、声が大きいって!』
『クリスマス、二人で過ごすの?』
『でも二人きりは無理かも?良太の事だもん。』
『そんな事ないかもよ。』
『あの良太よ、絶対に奈津子も誘おうって言うはず!』
有紀はそう言うと、背伸びをした。
『そうだ!いい事思いついちゃった!』
背伸びをしていた有紀は、奈津子に駆け寄る。
『今度は何を思いついたの?』
『奈津子もクリスマス一緒に過ごさない?飯島も誘って!』
『飯島も?何で?』
『だって飯島も来たら、2対2になるでしょ?
良太は奈津子が誘ってね!飯島は私が誘うから!』
『そんな、急に。あの二人予定あるかも知れないし。』
『クリスマスは二人とも予定ないって言ってたじゃない。
私が良太を誘うとなんかあからさま過ぎて。だから奈津子お願い!』
有紀は奈津子に手を合わせて拝んでいる。
『もう、わかったわよ。良太には声をかけてみるけど、
余り期待しないでよね。』




