三角関係+α
『じゃあ、お先です。』
飯島はそう言い残すと部室から出ていった。
『梅野、帰りにちょっと、時間あるか?』
『うん、今日は何も無いから。どうしたの?』
『話があるから。』
『うん、わかった。』
部活が始まる前に、飯島は梅野にそう告げた。
下駄箱の所で梅野が待っている。
『悪い、遅くなった。』
『私も今来たところだし。』
『行こうか。』
飯島と梅野は二人並んで学校をあとにした。
『話って、何?』梅野は飯島に話かける。
静かに流れる宝満川の河川敷に二人並んで座っている。
『また、良太と揉めたの?』
『いや、良太と揉め事は起こしていないよ。』
『じゃあ、どうしたの?部活で何かあったの?』
『いや、部活は順調。』
静か過ぎるくらいに川は穏やかに流れている。
二人の息も白く、空気も肌に突き刺さるような痛みすら感じる12月。
飯島はお尻を軽くポンポンと叩き、梅野を見下ろしながら、
『梅野、お前良太の事をどう思っている?』
『なによ、いきなり・・・』
『梅野は良太の事好きなんだろ?』
『えっ。』
『違うのか?俺は梅野の事が好きだよ。』
『いきなりそんな事言われても・・・』
『いきなりでもないよ、俺は小学生の頃から梅野の事が好きだった。』
梅野は俯いて黙り込んでいる。
『すぐに返事はしなくていいよ。じゃあな。』
飯島はそう言うと、軽く右手を挙げその場から立ち去った。
『良太、おっす!』
僕は呼ばれる方向を見ると、そこにはポニーテールをした
見るかぎり同級生とは思えないほどの大人びた女の子が立っていた。
『えっと~、誰?』
『私、隣のクラスの坂井有紀、よろしくね。』
『あぁ、どうも。』
僕は上靴から下靴に履き替えて、
そそくさと帰ろうとしていたら、
『ちょっと!女の子から声かけてきたんだからね!
ちゃんと最後まで話を聞く!』
この坂井という女の子はかなりハキハキしていて僕は圧倒されていた。
『あっ、はい。ところで、坂井さん、俺に何か用?』
『用がなければ声かけないって。』
『用件はなに?』
『一緒に帰ろう!』
『えっ、一緒に?』
『そう、何か問題ある?』
『問題って言うか、俺は坂井さんの事、初めて知ったんだけど。』
『私は中学に入る前からあなたを知ってるから。』
『えっ、そうなの?』
『そうなの!帰ろう!』
僕は坂井有紀と言う同級生に圧倒されたまま、学校を出た。
校門を一緒に出たものの僕と有紀は会話すらしなかったので
業を煮やしたのか有紀の方から話し出した。
『ねぇ、何か話す事ないの?』
『えっ、話す事?えぇ~と・・・』
『じゃあ、クリスマスは何をして過ごすの?』
『多分、冬休みだし家でテレビでも見ているかな?』
『ふぅ~ん、彼女いないの?』
『うん、いないよ。』
『あっ、そうなんだ。あれ?あそこにいるの奈津子じゃない?』
『どこ?』
『ほら、あそこ!』
有紀は指をさすと、そこには河川敷のベンチに座る
梅野と飯島の姿が眼に映った。
『あの二人、いい雰囲気。クリスマスの予定でも話しているのかな?』
有紀はそう言うと僕を見つめると僕の返事を
待ち望んでいるみたいだった。
『坂井さんは梅野と同じクラスなの?』
僕の返事に有紀は不満そうな感じを見せ、
『そうよ、あの二人の事気になる?』
『部活の話でもしてるんじゃない?』
『でもこの時期に二人きりで話し合ってるんだから、
やっぱりクリスマスの打ち合わせかも?』
有紀の言葉は僕の心の中をざわつかせただけど、
僕は有紀と別れるまでそんな気持ちを悟られないように家に帰った。




