移りゆく季節の中で
結局夏休みもあっさりと過ぎていき、
季節は秋へ向かっていく。
残暑厳しい中でも、先輩達のいなくなった後でも
僕らの部活動は変わらない。
ひたすら走り、ボールを追い、日が暮れていく。
ただ一つだけ変わった事があるとするならば、
今まで張り合う相手として見なかった飯島を仲間として
見るようになった事だった。
元々、運動神経と図太い心がよかったので、
サッカー部のきつい練習にも耐えてこられたのだろう。
今でも飯島にこの事を言うと、罰の悪そうな顔をする。
そして飯島が小学生の頃から梅野に寄せていた思いは変わらなかった。
そして季節は移り、寒い冬が訪れる。
僕と飯島はそれぞれポジションは違うものの、
有り難い事に先輩達の期待も大きく、飯島はフォワード、
僕はミッドフィールダーのポジションでの大抜擢を受けた。
3年生の先輩が抜けた後の新人戦に二人揃って、
スターティングメンバーとして出場した。
パスを出す時に、飯島の動き出しがまさに理想的で
僕のパスに反応するスピードは小学生の頃に、
2トップをはっていた他の中学に行った友達よりも上かもしれない。
試合は3回戦で負けたけど、先輩達からは来年に繋がる
試合内容だったと褒められた。
飯島はこの大会で2得点の活躍をみせ、先輩達に、
高い評価をもらった一人だった。
僕も1ゴール2アシストという結果には満足してるけれど、
飯島には敵わない。
飯島は人知れず努力をし、中学生からサッカーを始めたにも
関わらず、努力でレギュラーを勝ちとったのだから。
今年の冬は例年よりも寒さが厳しく、雪もちらほら舞い、
町はイルミネーションの光に包まれている。
今日の飯島は何か違う。
考えこんでいる様子に見えた。
練習を終えた飯島は、いつもならば僕にくだらない話や
『〇〇はいい女の子だな。』など女子の話に関しては
特に力説していた。
だけど今日は女の子の話もなく言葉も少なかった。




