表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/90

ファーストキス

静かなグラウンド。


月明かりだけが、照明の役割を果たしている。


グラウンドの隅にある、タイヤが積み重ねられた所に、


梅野が俯いて座っていた。


僕が梅野に近寄ると、足音で気付いたのか梅野は頭をあげる。


眼は泣いた後なのか、真っ赤になっていた。


梅野が泣いた所は今まで見た事がなかった。


『マネージャー、風邪ひくぞ。』


『私、マネージャー辞めたから・・・』


僕は梅野の横に座り、


『ふ~ん、俺は認めないよ。』


梅野は黙って見ている。


『マネージャーは梅野以外は考えられないしな。』


『なんで・・・』


梅野は泣き出した。


こんなに泣いた梅野を初めて見た。


『さて帰るぞ!家まで送るから』


僕はズボンの砂を掃い、梅野の手をとり立たせる。


『何でここだとわかったの?』


『1番最初に出会った場所だろ。ほんと探したんだぜ。

あちこち探して最後にこの場所に辿り着いた。』


『あちこちって?私を探したの?』


『当たり前だろ?おかげで明日は、今日の分まで練習だ。』


『部活休んだの?なんで?』


『梅野がいないサッカー部は淋しいだろ?』


梅野はまた泣き出した。今までには考えられないくらいに…


『心配かけてごめん。』


梅野は僕の胸に額を押し付けて言った。


『気にすんな。梅野が見つかったから、それだけでいい。』


『ありがとう・・・』


梅野は顔をあげ、僕の顔に近づいて言う。


僕と梅野は静かなグラウンドの隅でキスをした。


梅野にとっても、もちろん僕にとっても初めてのキス。


もちろんキスの味は、涙の味がした。


何分キスしただろう、僕にとっては長くキスした感じだった。


僕は梅野を家まで送り、家路に着いた。


長い一日が終わった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ