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太陽と月が同居する街

僕はまず梅野の教室に向かったけど、


そこには数人の梅野のクラスメイトしかいなかった。


僕が梅野を探していると聞くと教室に残っている人は


誰一人梅野を見ていないと言った。


図書室、保健室、体育館、どこに行っても梅野の姿は


見当たらなかった。


僕は屋内を出て、またグラウンドに向かう。


もしかしたら、もう家に帰ったのかも知れない。


部活に戻った僕は途中で部活を抜け出した事を先輩に謝った。


『梅野はほんと、お前達には大切な存在なんだな。』


先輩は笑いながら言った。


『お前達って?』


『お前だけでなく、飯島も今日は部活を休ませてくれって言ってきたからな。』


『飯島も?』


『そうだ、お前も梅野を探しているんだろ?』


『はい、あいつが部活辞めるって言いだしたのは僕のせいかも知れません。』


『お前、梅野と喧嘩でもしたのか?』


僕は昨日の事を先輩に話すと、


『お前がそう思うなら、今日は特別に休ませてやるよ。

ただ必ず梅野に部活に戻るように言え。

そして明日からは今日の分まで走り込みさせるからな!』


先輩は笑顔で言う。


そして手で追い払う仕草をした。


僕は先輩に一礼して、すぐに部室に戻り制服に着替えた。


部室には既に飯島の荷物はなかった。


『あいつも梅野を探しているんだ。』


僕はそう思うと無性に慌ててきた。


なぜ慌てているのかは、わからなかったけど・・・


部室を出た僕は、学校内を改めて探してみた。


梅野の姿は校内では見つけられなかった。


僕は下駄箱のとこに行き、家から履いてきた靴に


履き替えた時に気がついた。


最初から梅野の下駄箱を見れば、まだ校内にいるのか、


それとも下校したのか、一目でわかるはずだ。


肝心なところが本当に抜けている。


僕は梅野の下駄箱を覗いてみた。


梅野の下駄箱は上靴しかなかった。


既に下校しているみたいだ。


梅野の性格か普通に家に帰ったとは思えなかった。


僕が正門から出ると、遠くの方から飯島がこちらに向かって


歩いてきているのが見えた。


飯島が歩いてくる方向は、梅野の家の方角だった。


どうやら梅野の家に行ったようだけれども空振りみたいだ。


『まだ家には戻ってないみたいだぜ。梅野に何かあればお前を許さない。』


飯島はそう言い放つと、僕を押しのけて、また校内に向かった。


『飯島、お前は何もわかってないよ!梅野はそんなに弱い女の子じゃない。』


僕は飯島に対して心の中で言った。


僕はいつもの公園に向かう。


もしかしたら、この前のようにブランコにのっているかも知れない。


そこに梅野の姿はなかった。


太陽は沈みかけ、空には太陽と同居するように月が姿を見せはじめた。


僕はもう一度、心の中で言い聞かせた。


『お前は何もわかってないよ!梅野はそんなに弱い女の子じゃない。』


でも本当にそうなのか?


俺は梅野の事をわかっているのか?


弱い女の子じゃないと思ったけど、実は物凄く弱いんじゃないのか?


わかったような振りしているだけじゃないのか?


自分は梅野の事がわかっていると自惚れているだけじゃないのか?


本当は梅野の居場所をわからないんじゃないか?


『梅野に何かあればお前を許さない。』


もし梅野に何かあれば俺は俺自身を許さない。


僕はあらゆる所を探しまわった。


そんなに広い町じゃないので行ける所は限られている。


もしかしたら梅野のクラスメイトの家かも知れない。


僕は梅野と同じクラスの友人に梅野を探している事を伝えて、


僕の名前を出さずに探してもらう為に、電話をかけてみた。


友達はそれを快く引き受けてくれた。


友達に電話をかけて30分が過ぎた。


改めて友達に電話をかけてみた。


返事は『いなかった。』だった。


僕は友達にお礼を言うと、彼は力になれなかった事を詫びた。


空には同居人の月だけが輝きを放っている。


その月を見て、僕は最後の可能性のある場所、


僕と梅野、そして希ちゃんこの3人が出会った場所、


小学校に向かって走った。

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