中学生編 早春
小学校を卒業し、僕は地元の中学校に通う。
小学校のクラスメートの何人かは、
お受験をし遠くの私立中学校に行った。
僕は地元の中学校でもサッカーを続けている。
1年生の僕はとにかく走り続けていた。
走り続ける事で自分を鍛えあげていた。
早くレギュラーになりたかった。
僕は小学生の頃は、フォワードだった。
でも中学校ではまだどのポジションに
なるかなんて決まっていない。
こんな不安な中でサッカーを続けてこれたのは、
マネージャーの梅野の存在だった。
あの笑顔に不安は薄らいでいく。
梅野とは小学4年生の時、公園で別れて以来、
小学校の時は話していない。
そして希ちゃんからの手紙も徐々に減っていった。
『ほらぁ、ダッシュ残り10本』
3年生の声がグラウンドに響く。
その声に押されるように僕は走った。
『おつかれさま!』
梅野が他の先輩マネージャーと
一緒に全員にタオルを渡している。
同じ部活でも梅野と話す事はあまりなかった。
梅野に惚れていた飯島も同じサッカー部だが、
僕よりは飯島と話していた。
部活が終わるといつも3年の先輩でキャプテンをしている、
星野先輩達と一緒に僕は帰っていた。
偶然にも帰る方向が同じだったからだ。
そして、小学3年生の頃、
希ちゃんといつも帰っていた道を。
星野先輩と帰り道に話す事は、
サッカーの事が殆どだったが今日は違った。
『なぁ、良太。今年お前達と一緒に入ったマネージャーの梅野だけど。』
『梅野がどうかしました?』
『いや、あいつかわいいよな。』
『えっ?先輩、梅野好きなんですか?』
『あっ、いや、そうじゃない。あいつ、飯島と付き合ってるのか?』
『えっ?梅野が飯島と?』
小学生の頃、あんなにも敬遠していた、
飯島と梅野が付き合ってるなんて到底考えられなかった。
『飯島と梅野がですか?可能性ないと思いますよ。』
『そうなのか?あの二人を街で見かけた奴がいるぞ。俺はそいつから聞いたからな~』
本当に梅野と飯島は付き合っているのか?
僕は星野先輩の言葉が頭から離れない。
星野先輩と別れ、家に帰ると僕は自分の部屋に入り、
ベットの上に寝転がる。
やっぱり星野先輩の言葉が信じられない。
『梅野は飯島の事は興味ないはず。多分見間違いだろう。』
誰が見たのかはわからないけど、
僕は二人がデートしていた事を
信じたくなかったんだろうと思った。
その日は一日その事で頭がいっぱいだった。
夕飯が何だったのかも覚えていない。
急に僕はペンを取り、希ちゃんに手紙を書いた。




