微妙な二人
『良太君、お元気ですか?私は元気です。
奈津子ちゃんから聞いていると思うけど、
お別れ言わずに転校してごめん。
どうしてもサヨナラを言えなかった。
私も手紙書くから良太君がよかったらまた手紙書いてね。』
『希ちゃん、手紙ありがとう。梅野から話は聞いたよ。
希ちゃんと一緒に帰れなくなった事が一番淋しいです。
友達はもう出来た?また福岡に帰ってきてほしいです。』
『手紙ありがとう、良太君からの手紙が届くと
宿題する前に読んじゃいます。奈津子ちゃんから聞いたよ。
奈津子ちゃんと別のクラスになったんだね!
奈津子ちゃんと離れて淋しい?私もこっちで友達も出来ました!
そういえばもうすぐGWだね!福岡に行きたいな!』
『良太~!』
梅野奈津子は僕が下駄箱のとこにいると声をかけてきた。
下駄箱のところには、飯島学がこちらをチラ見している。
以前、梅野と僕は噂にはなったけど、
やはり『人の噂も七十五日』と言うだけあってすぐに消えてしまった。
学を横目に梅野は、
『良太、途中まで帰ろう!希ちゃんからも手紙来てるし!』
それを聞いた学は、『梅野、希ちゃんって誰だよ!』と言う。
『学~、聞いてたの?盗み聞きしてた?』
梅野は何故か学に冷たい。
『そんなんじゃないよ!聞こえたんだよ。梅野は声が大きいし!』
『何よ!学、何か文句あるの?希ちゃんは私と良太の友達なんだから!
引っ越しちゃったんだけど・・・』
梅野はそう言うと俯き、先に下駄箱の場所から出ていった。
僕もその後を追うように下校し、いつもの公園に、二人で行った。
いつもの公園のブランコ。この公園は僕と梅野しかいない。
『最近、良太も希ちゃんと手紙のやり取りしてるんだってね!
希ちゃんからの手紙に書いてあったよ。』
『うん、手紙書いてるよ。』
『何か、希ちゃん。私に送る手紙にも嬉しそうな感じで書いてたから。』
梅野はそう言うと、眩しい七月の空を見ていた。
僕も黙って空を見ていた。
梅野は空を見ながら言う。
『希ちゃん、向こうでもすぐに友達出来たみたいだね!』
『希ちゃんだもん、すぐに出来ると思っていたよ。』
『今はこうやって手紙のやり取りしてるけど、いつか私達の事、忘れちゃうのかな?』
『そんな事はないよ、希ちゃんは梅野とは一番の友達だろ?』
『一番なんてすぐに変わるわよ。良太の一番はずっと希ちゃんでしょ?』
僕が黙っていると、梅野はこいでいるブランコから
『よっ!』と飛び降り、
『良太、良太も私も希ちゃんと手紙のやり取りしてるから、
私から希ちゃんの話はする事ないね、じゃあね、良太。』
そう言うと梅野は、『バイバイ』と言って走って帰っていった。
そしてまたこの場所で梅野と話すのは、まだ先の事になる。




