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君が好きだから嘘をつく  作者: 穂高胡桃
3/60

とまどい

「柚原さん!」


「はい?」


終業時間になり、廊下に出てエレベーター前まで来た所で声をかけられ振り向くと、少し緊張気味な顔をした後輩の近藤くんがいた。


「あれ?近藤くんどうしたの?」


今、営業部のフロアで姿を見たのに、ここにいるってことは追いかけて出てきたのだろう。


「あの!もしよかったらこの後一緒に食事へ行きませんか?」


仕事の話かと思っていたので、言葉の意味を理解するのに一瞬時が止まってしまった。


「・・・えっ?食事?」


「はい!ずっと柚原さんを誘いたいって思っていました。」


「・・・」


突然の誘いに戸惑っていると、積極的なのか近藤くんはさらに一歩近寄り、


「今人気のお店で料理も美味しいらしいです。だから柚原さんと行きたいと思っていたんです。イタリアンは嫌いですか?」


「えっ・・・嫌いじゃないけど」


「じゃあ!行きましょう」


あまりにストレートな誘いに言葉が出てこない。

目の前の近藤くんとの距離の近さにうろたえていると、


「そんなにオススメないい店があるなら行こうか」


と、ニコニコ笑いながら同期の澤田くんが近藤くんの隣に立った。


「えっ・・・」


突然会話に入ってきた澤田くんに驚き、さすがに近藤くんは言葉を失って呆然としていた。

私だって言葉が出なかった。

唯一澤田くんだけが涼しい顔をして笑顔でいる。


「柚原はこの後用事あるの?」


澤田くんに話を振られて咄嗟に「うん・・・」と答えると、


「なんだ残念だな。じゃあ近藤2人で行こうか。僕も帰り支度するから付き合え。柚原お疲れ~」


って微笑むと近藤くんの肩を組んで半ば強引に営業部のデスクに連れて行ってしまった。

今のは何だったの?と少しの間考えていたけど、近藤くんに誘われて彼の勢いにうろたえていた私を澤田くんが助けてくれたのかな?

普段スマートないい男のイメージだったけど、そこに嫌味がないやさしさがあることに気がついた。





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