恋愛の条件
伝えられない想いを秘めてから、５年の月日が過ぎてしまった。
誰かを好きになるうえで、友人関係から始まる恋だけはしないようにしてきた。
普通、男友達を好きになったり、まずはお友達から～は世間一般では当たり前なのだろう。
でも私、柚原 楓はお友達から彼氏へのステップアップが非常に苦手であった。
好きになると自分から告白する性格であるが、友人関係になってしまうと本当に友人目線・対応をしてしまい愛情表現を出せなくなり、どうしていいのか分からなくなるのだ。
今まで友達として気遣いのない対応をしていたのに、突然恋した顔を見せるなんてどうしたらできるのだろうか。
だから男の人とは初対面のときに有りか無しかを振り分ける癖がついてしまっていた。
私は昔から好きだと感じたらすぐ想いを伝えた。
陰で思い悩んでいるうちに他の女子に好きな人を取られる位なら、勇気を出して自分の可能性をハッキリさせたかったからだ。
フラれたらどうしよう・・・という気持ちは不思議となかった。
自信があるわけではない。ただモヤモヤと悩むのが苦手だっただけだ。
ある意味、他人だからフラれても気持ちの整理がどうにかつけられる。
でも、友達だと悩むべきことがたくさんある。
冗談を言い合っていた関係から愛の告白をするほうが、私には難しかったのだ。
そんな私にも学生だった頃に一度だけ仲の良かった男友達に恋をしたことがあった。
その時に痛感したのだ。
好きな人と友達になってはいけないと。
「ゴメン・・・楓を恋愛目線で見たことなかった」
その言葉で全てが崩れた。
好きと言う気持ちも、仲のいい友達という関係も全てのバランスが崩れてしまった。
その男友達には私の気持ちを知って避けられたわけではなく、私のほうが男友達に距離をおいてしまった。
失恋をしてこれからどうしていいのか分からなくなり、グルグルと考えすぎて相手の顔も見れなくなり、結果として逃げてしまったのだ。
あんなに好きだったのに、一番大切な人だったのに、友達に戻ることもできなくなってしまった。
だからもう友達は好きにならないし、何より出会って何かを感じた人とは友達にならないようにした。
