第15話:集落の出会いと魔石の驚き
山の斜面を慎重に下り、木々の間を抜けると、遠くに小さな集落が見えてきた。
三人は息を整え、視線をそろえて一歩一歩進む。だが、集落の中から目を見開いた声が上がる。
「なんだ……あれは……?」
三人が歩みを進めるたび、驚きの声が集落のあちこちから響いた。年老いた村人たちが、軒先や畑の端から目を丸くして彼らを見つめている。
アリュウたちは理解した。
ここに住む者たちにとって、彼らの姿は異様で、信じがたいものだったのだ。
「山の上から……?」
老人のひとりが震える声で呟く。
その集落では、ちょうど一年前、王国の兵士たちが若者たちを徴集し、多くの者が王都に連れ去られた。
帰還する者はなく、兵士として使われているらしいと噂されていた。
だからこそ、目の前の三人の出現は衝撃的だった。
小さな子どもたちが、山の高みから帰ってきたように見えたのである。
アリュウはゆっくりと村長の家に招かれ、シリューとユウもそばに並ぶ。
村長と数人の老人たちは、驚きと疑念の入り混じった目で彼らを見つめていた。
「……一年間、山の上で何をしていたのだ?」
村長が低く問いかける。
アリュウは少し息を整え、落ち着いて説明を始めた。
父を失い、ワイバーンたちと生き延び、命の危険をかいくぐって訓練し、仲間たちと共に戦い、冒険を続けてきた日々を順序立てて話す。
シリューは補足し、ユウも時折手振りで話に加わる。
話を聞きながら、老人たちは深く同情した。
かつて王国の兵士として連れ去られた若者たちと同じ運命を辿るかもしれなかったことを考え、胸を痛めた。
しかし、アリュウたちの生き生きとした表情と、互いに信頼し合う態度を目の当たりにすると、同情だけではなく、不思議な希望も感じずにはいられなかった。
「……かわいそうに……されど、よくぞ無事で」
一人の老人が涙をぬぐい、微笑んだ。
そのとき、赤翼アルフェリス、ブモー、そしてスノウィルが空から舞い降り、村の広場に着地する。
羽を広げ、柔らかく地面を蹴る姿は、村人たちにさらなる驚きをもたらした。
そして三人の首元に目が止まった。光り輝く大きな石の首飾り――魔石である。
アリュウは、かつてチョリキの大物を討ち倒したときに手に入れた黄色の魔石、直径六センチ。
シリューは、木の化け物ビッグトレントを倒して得た緑の魔石、五センチ。
ユウもまた、月刃熊から手に入れた大きな橙の魔石を首にかけていた。
「なんだ……これは……!」
老人たちの声が重なる。
魔石の輝きは、不思議な力を感じさせ、見る者すべてを圧倒した。
戦いや困難を乗り越えた証としての輝き。
三人が生き延びたこと、そして力をつけたことを、誰の言葉よりも雄弁に示していた。
集落の人々は恐る恐る近づき、首飾りの魔石に触れ、光を確かめる。
アリュウは少し誇らしげに胸を張り、シリューとユウも笑みを浮かべる。
笑顔と驚きが交錯する中、三人と赤翼たちは、これから始まる新たな日々への第一歩を踏み出したのだった。




