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星を一緒に見ていたい  作者: 電気の土星
第二章:運命の夏
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第59話:普通じゃない普通の日

玄関の前で抱き合っていたがだんだん嬉しいじゃ誤魔化せないくらい暑くなってきた。

「せ、先輩...とりあえず一旦離れませんか...?暑いし、汗もあるので...」

私がそう言うと先輩は大人しく離れた。目に見えてしゅんとしている。

「先輩、また明日服返しにくるときに会えますから。ね?」

「じゃあ明日どっか行こ。」

これってデートでは。付き合ってるんだから、二人で出かけるのはデートで間違いないはず。

「わかりました。じゃあまた明日。」

くるりと向きを変えて歩き出そうとしたが先輩が引き止めてくる。

「デートだから。」

それだけ言って逃げるように家に入っていった。何か言う隙すらなかった。一人家の前に取り残される。家まで帰る道は普段より綺麗に見えた。


「ただいま。」

「おかえり〜。あら?どうしたのその服。」

「先輩が貸してくれた。」

私が部屋に行って着替えようとしたそのときだった。


「何かあった?」


「ふえっ⁈」

びっくりしすぎて変な声が出た。なんでわかったんだ。いや、なにがあったかはバレてないはず。

「べ、別になにも??」

焦りすぎて何一つ誤魔化せていない。何があったかまではバレなくても、何かがあったことは絶対バレた。

「ふーん。まあ着替えてきなさい。早く返さなきゃでしょ?」

部屋に急いで行った。部屋のドアをいつもより強く閉めた。少し息を切らしながらドアにもたれかかる。

「そんなに顔に出てたかな...」

ピロン♪

「はい!!!」

スマホの通知の音がいつもより大きく聞こえた。バクバクする心臓を落ち着かせながらスマホを見る。先輩からのメッセージだった。

『忘れ物してるよ?』

その一文とともに送られてきた写真は私がお祭りのときつけていた髪飾りの写真だった。

『すみません...明日服返すときに取りに行きますね。』

そう返信するとすぐに追加で写真が来た。

先輩が私の髪飾りをつけて撮られた自撮り写真。スマホを落としそうになる。

保存ボタンを押すか迷ったが結局押した。

保存ボタンを押してからしばらくすると先輩から追いでメッセージが来た。

『なんか言ってよ。恥ずかしいじゃん...』

『すみません...良い返事が思い浮かばなくて...』

先輩から電話がかかってきた。たまたま返信を打ち込んでいたからすぐに応答ボタンに指が当たった。

「はや!待っててくれたの?」

「返信考えてたからです。」

一拍置いて話し始める。

「なんで電話してきたんですか?嬉しいですけど。」

「直接聞きたいから。」

抵抗感は無いと言ったら嘘になる。可愛い以外の感想はないけど、いざ言うとなったら恥ずかしい。

「え〜っと...そのぉ〜...」

「ん〜?なになに?」

「可愛いです!すっごく!!」

それだけ言った勢いのまま電話を切った。先輩には申し訳ないけど、明日会えるんだから勘弁してほしい。


スマホをベットにぽいと放ってからシャワーを浴びに一階へ降りた。Tシャツを脱ぐ。なんだか先輩から離れた気がして寂しかった。シャワーを浴びている間もずっと告白したときの情景が目に浮かぶ。ようやく実感が湧いてきた。ほんとに付き合えたんだ。夢じゃない。


シャワーを終えてリビングに戻る。そういえば明日のことお母さんに言わないと。

「お母さん、明日なんだけどさ、」

「先輩とお出かけでもするの?」

「なんでわかるの?!」

お母さんは少し驚いた表情をした。

「ほんとだったの?」

「いいから!明日出かけるから!」

ドライヤーもせずリビングから逃げ出して部屋に戻った。スマホを見ると先輩からメッセージが来ている。

『明日、覚悟しといてね?』

背筋が凍る思いとともになぜか期待で心が満ちていく気がした。

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