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第15話:先輩と過ごす初めての休日②

先輩と手を繋いでいるとあっという間に島に到着した。幸せな時間は一瞬で終わってしまった。

「着いたよ。行こっか。」

先輩は手を離すと、船から降りるために1階へ降りていった。私もその後を追って1階へ降りていく。

その間もずっと先輩の手の優しくて温かいあの感覚が残っていた。


船を降りて、港にあるレンタサイクルの貸し出し場へ向かった。自転車に乗って、行き先の確認をする。

「まずはここから20分くらいのところにある公園行こうよ。今日は天気もいいから海が綺麗に見えるはずだよ。」

「はい。確か結構有名なところですよね?」

「そうそう。なんか映画の聖地でもあるらしいんだよね。ちょっと昔の映画だからわかんないけど。」

たしかそこにある鐘は、恋人同士で鳴らすと、ずっと別れない、という効果があるらしい。先輩はそんなこと気にしないだろうけど。


自転車を20分くらい漕いでその公園に着いた。こんな晴天の土曜日なのに人が少ない。先輩は崖の上から海の写真を撮っている。

「先輩、よければあの鐘と海をバックに写真撮りましょうか?」

「ならせっかくだし2人で撮ろうよ。」

鐘の横に立って先輩とツーショットを撮る。

「写真、送っとくね。」

そう言って先輩は私に写真を送ってくれた。先輩はいつも通りの眩しい笑顔で写っているのに対して私は緊張で少しだけ顔が引きつっている。

「恵那ちゃん、鐘鳴らしてきたら?写真撮ってあげるよ。」

先輩にそう言われて鐘を鳴らすところを撮ってもらった。

「先輩は鳴らさないんですか?」

「私もやるよ。写真お願いしていい?」

私はもちろんです。と答えて先輩の写真を撮った。先輩は私と違って写真写りがものすごくいい。写真を通しても、先輩の見た目の良さが100パーセントで伝わってくる。海を背景に鐘を笑顔で鳴らす先輩。被写体としては完璧すぎる。私がまだ先輩を知らなかったとしたら絶対に好きになる。それだけ魅力的だった。


それから少し公園で過ごしたあと、お昼ご飯を食べるお店に向かった。自転車でずっと海が見える道を走っているとすごく気持ちいい。

「着いたよ〜」

先輩が指差すお店は、海を臨む古民家を改修したカフェだった。

「綺麗なお店ですね。海も見えて、ロケーション完璧。」

「ここ好きなんだよね。海見ながらご飯食べるの最高だよ。」

窓側のカウンター席に座った。窓がとても大きくて、海や他の島々、そこを行き交う船を見ながらご飯が食べられる、とても贅沢な空間だった。

私は先輩おすすめのバターチキンカレーを、先輩は島の食材を使ったサンドイッチを注文した。

ご飯が来るのを待っている間にこの後の予定を確かめる。帰りの船がでるのは17時15分だから、それまでに戻らなくてはならない。今が12時20分。あと5時間弱ある。先輩が次は現代アート美術館に行くと言ってきた。

そこまで話をしたところでカレーとサンドイッチが来た。とても美味しそうだ。


うまいこと海が写るように写真を撮る。

「いただきます。」

カレーは少しピリッとしているが、チキンがほろほろで美味しい。付け合わせのサラダも、葉野菜がシャキシャキで絶品だった。

食べ終わって先輩の方を向くと、紙ナプキンを渡してきた。

「口の横にカレーついてるよ。そっちじゃなくて反対。もうちょっと外側。」

私がなかなか拭き取れないでいると、

「拭いてあげるからじっとしてて。」

と言って私の頬を紙ナプキンで撫でた。

「はい、綺麗になった。」

「あ、ありがとうございます…」

先輩はこういうことをいつも自然にやってくる。そのたびにドキドキする私の身にもなってほしい。まあ嫌じゃないからいいけど。

「どうしたの?顔赤いよ?」

「ちょっと子供っぽいとこ見られたと思ったら恥ずかしくて…」

「そんなことないよ〜。そういうとこもあるんだって知れてよかったよ。」

やっぱりこの人はずるい。そう思いながらお店を後にした。

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