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第14話:先輩と過ごす初めての休日①

恵那視点です。

今日は待ちに待った土曜日。先輩と二人で遊びに行く日。先輩とは9時20分に待ち合わせの予定だけど、9時には着いてしまった。服も昨日の夜必死に考えたし、髪もちゃんとした。先輩の隣を歩いても問題ないと思いたい。先輩は昨日少し様子がおかしかったけど大丈夫だろうか。そわそわして待っていると、向こうから先輩が歩いてきているのが見えた。

「おはよう、恵那ちゃん早いね。もしかして待たせちゃった?」

「いえ、今来たところなので。」

フェリーの乗船券売り場に行って乗船券を買う。出発まであと20分、乗り込めるのは15分前からだから、あと5分くらいだ。


先輩が飲み物を買いに行った間に酔い止め薬を飲んでいた。1回で2粒飲まないといけないもので、私は錠剤は一粒ずつじゃないと飲めないから時間がかかる。

「ただいま〜って恵那ちゃん結構酔いやすいの?」

「はい、乗り物酔いとかよくするので。」

乗る船は大きめだからそんなに揺れないとは思うが、備えておいて損はない。私は2粒目も飲んだ。


フェリーの乗り込みが始まった。船内は客席と売店があって、階段を登ると甲板に出ることもできる。私たちは窓側の列の真ん中くらいの席に座った。窓側は先輩に譲ったが、先輩は酔いにくいからと私に譲ってくれた。

「出発してちょっとしたら甲板に出ようよ。風が気持ちいいよ?」

「はい。そうしましょう。」

数分したら船が出発した。早起きしたのと、薬を飲んだことで少し眠たくなってきた。私がうとうとし始めると、それに気づいた先輩が、

「眠い?一時間くらいあるから寝てて大丈夫だよ。」

と声をかけてくれた。私は返事をする余裕もなく寝てしまった。


30分くらいしたら目が覚めた。目をぱちくりさせて隣を見ると目の前に先輩の顔がある。どうやら先輩の肩にもたれかかっていたようだ。

「す、すみません!重かったですよね!」

「あ、起きた?全然重くないから大丈夫だよ。」


たぶんシャンプーのいい匂いがする。お花みたいな優しい匂い。私の一番好きな匂いかもしれない。

「どうする?甲板行く?」

先輩は私に尋ねてくるが、その顔には甲板に行きたいという思いが滲み出ていた。これは断れない。

「行きましょう。」

そう答えると先輩の顔がぱっと明るくなった。


甲板に出ると、太陽の光と風が心地よい空気を作り出している。後ろには、船に乗った港が、前にはいくつかの島が見える。甲板に設置されているベンチに二人で座った。今日はそんなに人が乗っていないから、甲板も空いている。

「風が気持ちいいですね。」

「そうでしょ。私この感じを味わうために船に乗ることもあるんだよ。」

先輩はそう言うとどこか照れくさそうに笑った。

(可愛い…)

今の笑顔を、海を背景に写真に収めたかった。それだけ眩しくて可愛い笑顔だった。

ベンチに置いていた手を少し動かすと、先輩の手に当たった。私は一瞬で自分の手を退けてしまった。

「ご、ごめんなさい…」

「別に気にしないよ?女の子同士なんだし。座ってる間ずっと繋いでてもいいくらい。」


私は何を言われたのか一瞬理解できなかった。すぐに理解できたが、それと同時に、他の人にもこんなことを言っていないかと心配になった。

「先輩、それ誰にでも言っちゃだめですからね。」

どんな言葉よりも先に、いまの言葉がでた。自分以外にあの言葉が向けられるのは正直嫌だ。別に私は先輩の“特別”ではないけれど、それでも、先輩の手は私だけが触れていたかった。

「仲良い子にしかこんなこと言わないよ。」

そう言いながら先輩は私の指に指を絡めてきた。浅いが、先輩と手を繋いでいる。風が吹いているはずなのに、私の体温は上昇し続ける一方だった。

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