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第1話:狭い部室

恵那視点です。

放課後を告げるチャイムが鳴った。

私は荷物を持って教室を出た。

周囲は


「部活なにするか決めた?」


という声や


「一緒にかえろ〜」


という声で溢れている。


(部活か…)


別に部活に入るつもりはないが、一応掲示板の部活紹介ポスターくらいは覗いてみた。上から、サッカー部、野球部、テニス部、バドミントン部など体育会系の部活のポスターが並んでいる。どの部活も部員確保に必死なのだろう。どれも視線が吸い寄せられるような色使いだった。続いて文化部の方を見る。吹奏楽部、パソコン部、放送部、生物部、軽音楽部。文化部のポスターもざっと見終わったあと、同好会のポスターを見る。麻雀同好会、映画・アニメ同好会などのポスターが並んでいる。一番下まで見て帰ろうと思っていた。一番下に『天文同好会』のポスター。


(天文同好会…そんなのあるんだ)


特別星が好きなわけでも、詳しいわけでもない。だが天文同好会のポスターが私の目を奪って離さない。下の方に活動日時と使用教室が書いてある。


「毎週火曜・木曜・金曜の放課後

最長22時まで活動可

使用教室:東棟2階空き教室」


(毎週火曜・木曜・金曜…って今日やってるじゃん。)


私は東棟2階の空き教室へと歩き始めた。しばらく歩いて、教室のドアの前に立つ。人の気配が全くしない。同好会だから部員が少ないことは想像がつく。だが、そんなことでは説明がつかないほど静かだった。ノックを3回して、

「失礼します…」

ドアを開けると、机が3つ無造作に置かれて、その一つでパソコンと向き合う人がいた。

「もしかして入部希望の子?一年生だよね?そのリボン。わたし赤星紗凪っていうんだ!よろしくね。」

「あ…よ、よろしくお願いします…?」

人見知りが発動した私を見て紗凪は優しい笑顔を見せた。

「あ!ごめんね。いきなり色々聞きすぎたね。緊張しちゃうよね。わかる〜」

その笑顔を見た瞬間、私の中でなにかが大きく跳ねた音がした。


(すごい綺麗で可愛い…)


紗凪の整えられた短い髪や長いまつ毛に目を奪われる。非常に整った顔つきから放たれる笑顔。私の目にはとても眩しく映った。

「あ!まだ名前聞いてなかったね。お名前なんていうの?」

「相月恵那です…」

「恵那ちゃんっていうんだ。可愛い名前だね。」

そう言うとまた笑顔を私に見せてくる。

「立ったままもあれだし、この椅子座りなよ。」

そう言うと彼女は自分が座っていた椅子の隣の椅子を指差した。

私が椅子に座ると彼女はまた喋り出した。

「ポスター見て来てくれたの?」

「はい」

「ありがとう〜!あのポスター結構自信あったんだよね〜」

私は少し落ち着いて周りを見る。机と椅子が3セットずつあるだけで、他は模造紙や問題集などがあり、物置として使われているようだ。そんな私の様子を察してか紗凪は、

「教室、ここしかないって言われてね。狭いし、物いっぱいだけど、こっちの方が落ち着くよね。部員私だけだし。」

「赤星さんだけなんですか?」

「紗凪って呼んでいいよ?私が去年作った同好会なんだ。」

紗凪の顔を見るとさっきの感覚にまた襲われる。これが世間一般的に言う一目惚れなんだろう。だが私は女の子はもちろん、男の子のことも好きになったことはない。そんな私を一目で惚れさせるくらい、紗凪の顔は綺麗で可愛かった。私は詳しい説明を聞く前に


「入部したいです。」


私の言葉を聞いて紗凪の表情が一気に明るくなる。表情が豊かな人だな、と思った。

「ほんと?!入部してくれるの?ありがとう〜!」

そういうと私の手を握ってぶんぶんと上下に振ってきた。

私は私の手を振る紗凪の顔を見ることしかできなかった。

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