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護祈 3


ハクマが移動してきて数日が過ぎた。

数日の間に巨躯が二体現れたが防衛隊の管轄が違い、別の基地で別の護祈や防衛隊が戦闘を行いその戦闘記録を見て過ごす。

基本、巨躯が現れない限り防衛隊も護祈も出番はなく非常時に備え基地内での生活が続く。

護祈のサポートチームも数日部屋から出てこないルツキに部屋まで行って会いに行くか、基地の雑務を任され日用品の買い出しや電球の交換や観葉植物の水やりなどを繰り返すだけ。


何もせず体がなまらないようハクマは自主的に人のいない時間帯に基地の設備を使って鍛えていた。


日が昇る頃、ハクマが汗を流すためシャワー室へと向かっていると自販機に飲み物を買いに来ていたユウスイと通路の角で鉢合わせる。


「ん。今日もやってたんだ筋トレ、朝から疲れそうなことを。まぁルツキを運ぶのに力はいるか、ご苦労様」

「ああ、ユウスイさんおはようございます。早起きなんですね」


遠目からだと少女と見間違える背の低い女性を見下ろすのも屈んで視線を合わすのも失礼だと思い少し離れた場所で会話をする。

彼女も近寄るでも離れるでもなく話す、

基地の中も外も静かで廊下は二人の声がよく響く。


「いや、私はこれから寝るとこ。巨躯や防衛隊に無知でそれを恥と感じない奴らにウイルス爆撃してたらこんな時間になった。……え、早起きしてるの?」

「爆撃?」


「低レベルのプロテクトしかない民間端末から火花を散らせる正義の行い」

「それ普通に犯罪じゃないですか」


「冗談だよ。都市の検閲権限使ってネットから締め出しただけだよ、本気にするな」

「もしかして、都市の管理関係者だったりするのか? 都市が管理するネットワークに自由に鑑賞できる権限なんて……」


「さあね。都市を管理する家の人間の一人がこんなとこふらふらしてるわけないじゃん。ねむっ……寝るよ」


紙パックのジュースを吸いながらユウスイは去っていく。


シャワーを浴びてハクマが部屋まで戻って来るとどこからか朝食の用意をする香りが漂ってきた。

部屋を覗くが料理をしている様子も人の気配もない。


ここから食堂は遠いしここ以外のキッチンがあるんだろうなとハクマは自分のデスクのつくとどこからか流れてくる匂いに何を作っているか考えていると部屋の入り口からルツキの声が聞こえてきた。


「朝早いのね。誰もいないと思っていたからびっくりしたわ」

「おはようございます。えっと、その~この間の急に抱きかかえたこと怒ってたりします?」


メロウもカヅキもおらず言葉を交わすのも装甲車に運んだ時以来で気まずさもありハクマは頭を掻きながら機嫌をうかがった。

相も変わらずルツキは肌を隠すよう長袖やハイネックの服を着ていて、彼女は奥のテーブルへと向かうと電気ポットで湯を沸かしその間にテーブルをウエットティッシュで軽く拭く。


「別に怒ってなんかいないわよ。メロウやユウスイの指示も聞いてたし。ただ疲れてあの時は誰も相手にしたくなかっただけ。そうだ手を空いてるなら手伝って、物を運ぶのが仕事でしょ」

「了解です。で、何を運べば?」


「朝食」

「朝食?」


「この間は巨躯の出現と私の戦闘で時間がなかったけど、体調もよくなったし今日からまた作るわ。何にも聞いてないけどあなたも食べるわよね? 今更だけど何か好き嫌いある?」

「食事当番か何かですか? 頂けるならいただきますが。でもここ数日過ごしていてそんな話は聞いてないんですけど」


「私の趣味よ、基地でできることなんてそんなにないもの。巨躯に備えて待機をし続ける私はどこにも行けないし」

「そう、なんですね。とりあえず手伝いますよ」


通路の更に先、メロウやカヅキらの私室の先にルツキの部屋がある。

やはり守られる存在だけありルツキの私室前には専用のカードキーで開ける扉があり、ルツキの案内でその手前の部屋にある厨房に案内された。


「えっと、ずいぶん変わった間取りなんですね? 日中みんなが集まるあの部屋も仕事用のデスクと休憩室がくっついたような感じでしたし」

「ここ、もともとは護祈の専用の食事を作る厨房だったわ。でも出される食事を待つだけは退屈だったから自分でお菓子とか作るキッチンにした。なんかいろいろそろってるし。たまに隊長とメロウとカヅキも利用しているわ、あなたも利用することがあれば一声かけて頂戴」


厨房には焼けたトーストや目玉焼き、サラダやフルーツなどが配膳用の小さな台車に乗せられていた。


「あの大部屋は私がいちいちみんなを探しに行くのが面倒だから一カ所にまとめたわ。あの部屋元は何だったか来賓用の応接室だった気もしたわね。ここに来る来賓なんて私の顔見知りしかいないし問題はなかったのよ」


大部屋に戻ってくると料理をテーブルに並べる。

ルツキ、ハクマ、カヅキ、メロウの分の食事を並べ、ユウスイの分の食事をカバーをかぶせて冷蔵庫にしまう。


「そういえば今日やっと隊長が返ってくるわ」

「隊長さんも女性なんですよね、なんでも頻繁に現れるようになった巨躯に対する会議とかで」


「ええ、出現位置は毎回異なり予測も不明。そんな中どうやっていち早く巨躯を見つけ出し倒すのかの会議のはず。それとここで男性はあなただけだけど。なに、友達が欲しいの?」

「いや~、今までむさくるしい職場で急に男女比が変わるもんだから少し居心地が」


「護祈のサポートチームは護祈に心的な負荷をかけないよう選ばれてるからね。あなたの転属希望でしょ、慣れてとしか言えないわ」

「他の護祈のサポートチームも女性の方が多いんですかね? 前の基地でもそういえば護祈の人のそばには女性しかいなかったような」


「まぁほとんどはだけども、そうでもないところもあるわね。人事の採用権限を使って逆ハーレムしているお姉さまもいるし、個人によるとしか。一応は防衛隊の中からって決まりはあるけど。他に何か聞いてる?」

「ここは人が少ないほうだって聞きました」


「はいはい、そうね。私は人が多いと疲れちゃうから。なるべく人は減らしている」

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