守るために 4
影刃青輝と戦いながらも都市へと進む輪天暴羅。
緑色の薄気味の悪い空の高い所を飛んでいることもあり地上の護国獣たちは接近しての戦いはできずビームと光弾のみを放つだけ。
それに加え動き出したもう一体のスケール4、妖閃禍呑の対処に数体が移動し輪天暴羅を攻撃する戦力は減っていた。
攻撃はバリアを足場に飛び上がる影刃青輝に向き、護国獣たちはアースライトを使い切らせるためにも攻撃を休むことなく続けている。
火力は高いが蓮発できない重聖射光は後方へと下がりバリアや回避で攻撃の威力が落ちないようスケール4にとどめを刺すその時に備えて力のチャージを行っている。
ティルトローターが護国獣が並ぶ都市と巨躯の間に接近し降下すると一人の護祈が降りたつ。
『最終警戒区域に到達、白縛聖壁、出撃を』
「はーい、行ってきま~す」
噛んでいたガムを吐き出し護祈はペンダントに両手を重ねる。
周囲から人が離れ戦闘の準備が進められていき、他の護国獣と同じく機械的な白い体の護国獣がその場に現れた。
細かく分けられた発光器官が瞬くと輪天暴羅の周囲にバリアの壁が形成され、白縛聖壁が展開したバリアで雁字搦めにし地上へと向かって引きずり落とさせる。
そこに何度落とされても飛び掛かる影刃青輝が攻撃を仕掛けた。
重量の増加が落下に拍車をかけ振りほどこうとする輪天暴羅の攻撃が影刃青輝に集まるが、展開したバリアが砕けながらも攻撃を塞ぎ地面へと向かって行く。
砕けたバリアのオレンジ色の輝きを見ながら地上の護国獣たちは攻撃の射線上に入らないように道を開けた。
「正直白縛聖壁は能力が強いが。戦闘後の調整が難しく前には出したくなかったな」
「事象を伴う重度の攻撃性、でしたか」
「ああ、手足の拘束に猿ぐつわ、悲痛な叫び声と見ていて辛くなる」
現場の指揮を任されている護祈の隊長がバリアを展開する戦車の影でコーヒーを飲みながらつぶやく。
バリアにエネルギーを裂いているため砲撃はできず、その並ぶ戦車の間に天幕がかけられて簡易的な指揮所が作られている。
スケール4の接近によりすでに都市側の指揮所へと撤収準備が始まり、接収作業を進める人数は20名といない。
「もうじき重聖射光の攻撃準備が整います。このままでは影刃青輝が攻撃に巻き込まれますが」
「しかたない、いまだ場は混乱していてあれが誰なのかの確認はできていない。すべてが終わったのち調べ。決着をつけよう、都市の防衛は完璧だと報告が入ったが、何やらもめごとの最中の様だ」
「ああ、待機中の護祈とその担当する部隊長を狙った攻撃ですね」
「何か報告があったのか?」
返事はなく小さく銃声が響き隊長はコーヒーを落とし地面へと倒れる。
銃声より大きな音を立てて人物が倒れたことで、その場にいた他の者たちの動きが止まり倒れた隊長へと注目が集まった。
引き金を引いたものは素早くバリア発生装置に偽装された拳銃の引き金を引き、武装した者から撃ち抜き、空いた戦車のハッチへと適格に手りゅう弾が投げ込まれた。
銃をしまうと作られた皮膚を剥がし機械の顔を晒しながら手りゅう弾が爆発する前に消えていく。
都市で変換機の到着を待つルツキが、タブレットで戦闘の様子を見ていると慌てた様子でユウスイから連絡が来る。
通知が鳴りやまず唐突な連絡に驚きながらもルツキは答えた。
『ルツキ、大変!』
「どうしたのユウスイ、そんな連打しなくても……」
『カヅキが大怪我して基地に運び込まれた。隣接する病院で治療を受けてる』
「え、え……そう、無事、なのよね?」
『強く体を打って骨とか折れてるらしいけど生きてはいる。治療も受けてる、手続きがめんどいからルツキの権限勝手に借りて設備は護祈専用のを使わせた。リハビリとか必要だろうけど治れば日常生活は送れるぽいって』
「よかった。ええ、カヅキの操縦技術は必要だものね。戦いが終わったらみんなでお見舞いに行きましょう」
『それより、ハクマがやばい! カヅキと一緒にいたんだって! 助けた時に気を失う前に話してたって』
「なに、ハクマ君がどうかしたの? 落ち着いて、ユウスイ、ゆっくり、ゆっくり教えて」
『影刃青輝、あれ変換機持ってきてたのカヅキたちで、途中で落として壊れて。ハクマ、ペンダント、光とだけ言って気を失って』
「ん? あの、影刃青輝は」
『そうだよ!』
スケール4と戦う最前線では複数のバリアの柱と守白晶龍の付着する結晶体によってもうすぐ地面へと下ろせそうにまでなっていた。
何本も伸びるバリアの柱に拘束されている輪天暴羅の体が突如白く輝きだすと、鬱陶しくも何度払っても飛びついてくる影刃青輝へとむけて黒い電流が流れる。
輪天暴羅の攻撃が炸裂し影刃青輝が巨体が力なく地上に叩きつけられる。
「ここまでね、誰か知らないけど時間稼ぎお疲れ様。多分あなたが誰だかは世間には発表されないでしょう、それっぽくでっち上げられた存在しない影刃青輝の護祈としてルツキちゃんの影刃青輝が戦ったあの公園の墓標に名前が記載される。稀有なめぐりあわせね」
「護祈じゃないやつが変身できるなんて知れたら今回みたいなことが増えるだろうしね。失踪者にはなるか」
護国獣となっていても通信端末などを身に着けていれば護祈との交信をすることは可能で、それによって護国獣へと作戦の伝達と攻撃の指示などを行っていた。
ルツキからの連絡が来る。
『お姉さま方!』
「声を張らないで聞こえている。耳が痛いわよ、どうしたのルツキ」
『スケール4と』
「もう決着がつくわ。わざわざ都市攻撃用に温存してたであろう奥の手を受けてくれて、何人かは体調不良で倒れたけど私たちの中で誰一人大きな怪我をすることなくスケール4を倒せることができた」
「わかってると思うけど今戦闘中で、ただでさえ集中してないとアースライトのエネルギーに精神が飲まれそうになるっていうのに。私的な通信は怒られるよ?」
『違うんです。ハクマ君を助けてください』
「だれ?」
「ルツキちゃんに手を上げたサポートチームの」
「ああ、じいさまに殴られたって」
「そうそう。ラショウのところとおじいさまのところと他いろいろ巡った彼」
「ん~、すでにほとんどの護祈は会話もままならない状態まで疲弊している。私たちでやるしかないかな」
「仕方がないわね」
「今助けたとして彼は戻る?」
「今ならまだ。つっても生命力の変換は始まってるだろうけど」
『お姉さま方!』
「ええ仕方ない、妹のためだもの」




