守るために 2
姿勢を低くし一直線に輪天暴羅のもとへと走る影刃青輝。
「はぁ、せっかくスケール4から引きはがしてクテンたちが合体技で倒したのに。次の攻撃準備をまた当ててもらわないといけないわね。でも、すでに結構な時間護国獣になってるしもうあんまりエネルギーないんじゃない? アースライトのエネルギー枯渇して代わりに生命力吸い上げて終わりでしょ」
「重聖射光の口を結晶で塞いで砲撃で砕いてまき散らす散弾砲。町も道もない海側じゃないと攻撃許可出ません、あれをまた安全な場所まで追い立てないといけないけど」
「大丈夫、いよいよになったら私が出るから。長距離砲撃も盾くらいにはなれるでしょう」
映像の中で影刃青輝が速い速度で駆ける様子が映っている。
「ねぇ……なんか、今まで以上に影刃青輝早くない?」
「背中に推進器が生えたとかじゃないけど、確かに早いわね? 能力は多重バリアなんですよね?」
「ユウスイ、説明を」
『知らんし! 今図面とにらめっこしててそっち見れてないんだよ、重力操作とかで体軽くする巨躯とかいたしそんなんじゃない? あのね、ルツキさんと話すための回線がまさか護祈の皆さまとお話できるなんて思ってませんでしたし。こんなに頼りにされるだなんて思っても……。いや、ちょっと頭使った会話できない、できれば都市の防衛に集中させていただきたいですます』
ユウスイの通話の向こうで作業の音が入り込む。
食事やジュースのおかわりをし背後で頭を抱える隊長たちと比べて自由な護祈。
「面白いわね」
「能力は多重バリアの展開っぽい、複数能力って調整しないと生まれないんじゃなかった?」
「護国獣は護祈それぞれの能力に合わせて調整されてるし、何かとかみ合った?」
「影刃青輝の背中の鱗は発光器官の亜種だったよね、だから能力によって多少の変化がある」
「あれ護硬甲牙の角や爪みたいに伸ばした守白晶龍の結晶体みたいなものでしょ?」
「いいえ普通に設定された護国獣の体の一部です、切り離しができるようにされているの」
「私も何かできないんですかおじい様」
「ええい、いまエイアとクテンに指示を出している最中だ後ろで騒ぐなルツキ」
残ったスケール2が影刃青輝へも迫るが薄く広げ何層にも重ねたバリアですべてを防ぐ。
「しっかり狙って防御してる? つうかもう味方に攻撃されてるじゃん」
「ただなんか変なバリアだね。パッと展開というより小さい光から広がって生えてくるみたいな」
「守白晶龍の亜種? あれは瞬間的な眷属とかのくくりなのかしらね?」
影刃青輝は地面からバリアを生やし飛び上がる。
「バリアで階段作って飛び上がったけど、まだ知性は残っているのかだいぶ賢い使い方ね?」
「エスカレーターみたいに上に上がる力付きでとびあがったね、どんだけ飛ぶんだ」
飛び上がった勢いで輪天暴羅のそばへと着地しもう一度地面にバリアを生やして打ち上げられるように飛びあがった。
輪天暴羅の背中から電撃が影刃青輝めがけて撃ち出され周囲に展開されたバリアがそれを弾く。
「ルツキちゃんみたいに一直線に距離を詰めて雑な戦い方ね」
「接近戦特化の護国獣だし影刃青輝は。光弾やビームの威力も牽制程度にしかならないし」
「同士討ちを始めたけど味方同士ではない?」
腕を振り上げ尾を振るうが虚しく空を掻き、輪天暴羅に回避され影刃青輝は地上に落ちていった。
落下中、バリアを張って落下速度をやわらげ着地をし再び走り出す。
『バリア展開装置の配置完了。ああ、通信こっちじゃなかった』
「都市の防衛システムは小rで大丈夫そうね。これで長射程の攻撃は防げるわね。防御に使うアースライトの使用量すごそうだけど」
「襲撃犯の裏で支援している黒幕は見つけられるのかしらね?」
ユウスイの報告を聞いて会議の手を止め防衛システムを確認する隊長たち、防衛用に作られた砲台の一つが都市の方を向く。
「ん?」
一瞬の光と衝撃が、護祈と隊長たちを襲った。
気が付けばすべてが終わった後で建物の電源が落ちあちこちから警報が鳴り響く。
護祈たちは身に着けていた変換機の防御機能で身を守ったが、舞い上がった埃と黒煙で咳き込んだ。
「ケホケホ、なんなの」
「口の中ジャリジャリする、お水頂戴!」
席を立ちあがろうとする語気たちに向かって暗闇から鋭い声が響く。
「護祈たちは目を開くな! 皆目を閉じその場で待機だ!」
何人かの隊長が代わる代わる同じような指示を出す、ルツキを始めそこにいた護祈たちは何が起きたかわからないまま目を瞑り次の指示を待った。
警報に混ざってザリザリと散らかった室内を走り回る足音と聞き取れないが隊長たちの話し声。
ハンカチで口を押え座ったまま冷静に待つ護祈たち。
「なにが起きたの?」
「わからない。みんな無事?」
「お水頂戴! 聞いてる? どこか行っちゃの、返事して?」
「巨躯の攻撃? 目瞑っててわからない、とりあえずけどテーブル消えちゃったよね。風を感じるってことは建物に穴でも開いた? ここ結構な高層階だけど空気漏れていったりしない?」
変換機を持つ護祈と一緒にいたルツキもまた難を逃れ目を瞑りいまだ説明されない状況の説明を待つ。
「護祈たちはいったんこの場を離れる、一人ずつ案内するからその場で待て。場所を変えよう、どうやら我々の行動が把握されているようだ」
テーブルや重たい何かを動かす音が響いたのちに誰かの指示で一人ずつ座席を立つ音が聞こえる。
ルツキのもとに早足で歩いてくる音。
「ルツキ、お前も他の護祈と一緒に行け」
「その声隊長ね、これは……一体何が起きたの?」
「説明は後だ、戦闘をひかえている護祈もいる必要以上に動揺させるのは避けたい。とりあえずここからは離れ安全な場所に移動する」
「ユウスイはおじいさまは無事?」
「二人とも無事だ。そもそもユウスイはこの建物ではなく基地の方にいる。私も移動しなければいけなくなった、しばらくは休息中の護祈たちと行動を共にしてくれ」
レオが去って行くと入れ違いに迎えが来てルツキも目を瞑ったまま部屋を出ていく。




