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守るために 1


変換機を取り戻しその場に襲撃者の亡骸を放置し二人はバイクに戻ると捲れあがった柔らかい地面を泥を巻き上げながら滑走。

戦闘の衝撃でできた大きな地割れを飛び越える。


『スケール4、赤雲種墨が消滅を開始。と同時に大量のスケール1とスケール2を生み出しています』

『自身のアースライトを使って生み出しているんだ、一番消耗が早いと思ったが置き土産まで残していくとはな。とはいえ一体消えた、一体は前の攻撃後からまだ動いていない』


スケール2は基地の方へと飛来し轟音を轟かせ、バイクへと向かって転がってくるスケール1。

赤雲種墨が消える前に生み出している大量のスケール1などの処理に追われて戦車隊の援護は期待できない状態。

回転する平たく薄い塊が徐々に土に足を取られるバイクに距離を詰める。


「カヅキさん、後ろから二匹巨躯がきてます。あの雪の結晶みたいなやつ」

「ん、安全運転をやめる、結構揺れるよ、しっかり掴まってて。絶対ルツキちゃんの変換機を落とさないでね」


ミラーを確認しながらカヅキはそういうと一気に薄紫色のスケール1を振り切るためバイクの速度を上げた。


「周りに戦車がいないから引き連れてこのまま基地に向かうよ。今僕頑張ってるけどたぶん基地に着いたらもう動けない。あとハクマ君に任せるからね」


何処からか飛んできた瓦礫を躱し段差を飛び越え一直線に基地へと向かっていると、無線が新たに現在の巨躯同士の戦いの戦況を伝える。


『妖閃禍呑が行動を開始。都市へと向かって進行中』


基地に近づくにつれ空からぱらぱらと土が舞い落ちてきており、遠くで戦っている輪天暴羅の無差別な攻撃で巻き上がった土煙が視界を濁らせる。


「もうすぐで、基地の敷地内に入るよ。基地に入ったら、偉い人んとこ行ってルツキちゃんたちのところに通信つないでもらわなきゃ。変換機返して巨躯を倒してもらおう」


基地に近づきあと少しというところでスケール2がバイクのそばに落ちて自爆。

直撃こそしなかったが地面ごとバイクが捲れあがり、閃光にも爆発音にも気が付かず二人は何が起きたかわからないまま地面に転がっていた。

腕を折り地面にだらりとたらしたカヅキが鮮血が流れる顔を上げ空を見ている。


「何が起きて、カヅキさん。無事ですか?」


ハクマも地面に叩きつけられ背中に熱い痛みが走りながらも気合で体を起こす。

歯を食いしばりながら体を起こすだけで息が上がり意識が遠のく。


吹き飛んだ衝撃でバイクは大破し激しい火花と灰色の煙を吹いていた。

ハクマは軋む体を鞭打ち立ち上がると変換機の無事を確認するとさっきまで手にしていた変換機が無くなっていた。


「変換機を落としました、どこかに落ちてませんか! カヅキさん」


あたりを探すため立ち上がろうとするが脚の力が抜け膝から崩れる。

もう一度立ち上がろうとするが脚に力が入らす腕の力だけ前進してカヅキのもとへと向かう。

ハクマが足元を探していると爆発の衝撃で一度は吹き飛んだスケール1が追いついてきて火花を散らすバイクを引き裂く。


「機械を優先して、狙ってるのか……」


その勢いのまま弧を描いて方向転換しカヅキにスケール1が迫るが、彼女の足元にあったルツキの変換機がバリアを張り攻撃を止めた。

しかし止められるのは一体限界なようで、二体目のスケール1がバリアにぶつかるとオレンジ色の透明な亀裂が入る。

死力を振り絞って立ち上がるハクマだったがやはり足が動かず倒れた。


バリアの光とスケール1を見つけて駆け付けた黒煙を上げる戦闘ヘリが機銃を掃射しスケール1を倒して基地へと帰還していく。

体を強く打ちつけて碌に手足も動かずその場で倒れる二人。


頭を強く打ち白む意識の中でカヅキが空から視線を降ろして見たのは少しずつ変換機に向かって這って進むハクマが、ひびの入った変換機に手を伸ばし彼の手が触れたとたんに眩い光を放つところだった。






大桜山都市では迫るスケール4に備えてアースライトによる防錆設備の増設が進んでいる。

都市の中央部、巨大なアースライトの採掘工場となっている建物の高層階層に護祈たちとそのサポートチームの隊長たちは大きな会議室に集められていた。

隊長たちはスケール4の情報をもとに作戦を立て、護祈たちは戦闘の疲労を癒している。


「剛龍衛装、護盾蒼鱗、正龍爆拳、鉄龍聖壁、蒼甲震拳、護蒼豪腕、聖龍爆甲、守白晶龍、護硬甲牙、重聖射光と護国獣を集めたもののスケール4に攻勢をかけられないのか」

「影刃青輝を除けばどれも巨躯との戦闘経験数が多い護国獣たちですが、スケール4相手となると……一撃で致命傷ですから。護蒼豪腕はすでに戦線復帰はできない状態」

「できないということはないだろう。生きている限りは護国獣になれるはずだ」


白熱する会議を尻目に護祈たちはモニターの一つに映された異様な空に浮かぶ輪天暴羅をみて呟く。


「普通の巨躯は勝手に接近戦をしてくるかちょっかい駆ければ迫ってくるから。あいつは高い所から降りてこない、卑怯なのよ」

「空飛ぶ巨躯には本当に手も足も出ないわね。射撃型の武装増やせないかおじいさまに話して見ましょうか?」

「卑怯は言い過ぎ、賢いとか言ってあげないと龍装烈輝や重聖射光みたいな射撃重視の距離を取ってビームで倒す護国獣にも当てはまるんだから」

「ビームも光弾も疲れるよ集中しないと狙いがぶれるしアースライトの消費早いし。クテンとか見てて思わない?」


戦闘を短期に切り上げることで消耗を抑え次の戦闘の順番を待っている護祈たち。


『大桜山基地のそばに影刃青輝出現!』

「さっき倒した後、回収したんじゃないの? 逃げられた? 映像をこちらにも映して見せてくださいな?」

「回収し基地へと向かうという報告があっただけで、その後連絡が途絶えたため改めて襲撃者に奪われたものかもしれません。あのスケール4たちだけが襲撃者のすべてとは限りませんから」


彼女らに交じってルツキもそのテーブル席に着き戦闘の様子を見ていた。


「背中、光っているわね。発現した巨躯としての力は、ビーム系?」

「障壁、複数のバリアを展開してる」

「外れね。力と数で押せば割れるし裁けなくなる」

「でも、戦車隊の攻撃は防がれてるけど。どこに向かってるの、ここ? ルツキのサポートチームの人おしえて」


サポートチームの人間にケーキを食べさせてもらっている護祈の一人が無線機に語り掛ける。


『私、便利な質問箱じゃないんですけど……えっと、知らないけどこのまままっすぐ進めば輪天暴羅と合流する、かもです。ちょっと待って、防衛設備建設要員が半分以上ここに到着できてないから建設が遅れるとマジやばいんですって!』


都市の防衛設備建設に指示を出しているユウスイが片手間にこたえた。


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