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護祈 1

皆でカップ麺をすすり大型モニターで都市のスイーツ特集を見ていると番組が終わり次番組として先ほどの巨躯との戦闘が報道された。

ついさっきまで現場にいたルツキや他メンバーたちは特に反応することもなく食事を続ける。


「巨躯出現のニュースっていつも遅れて報道されますよね。危険な存在なんだからもっと早く報道と化して危険を知らせないんですか?」


ハクマが食事の手を止めて訪ねると髪型を気にするメノウと眼鏡型のデバイスを片手で操作しながら食事していたユウスイが答える。


「まぁ、一目見ようと野次馬が集まってこないようにとかあるよ~。避難指示する人らの仕事が増えちゃうの~」

「安全じゃないのに集まってきて戦闘の余波で犠牲者が出るからね」


画面に映る報道は相変わらず静止画でキャスターが淡々と被害の報告をしているだけ。

それをつまらなそうに見ていたカヅキか口を開く。


「だから、どこに巨躯が出たかは内緒にして避難指示だけ出して離れてもらうの。結構広い範囲で避難指示出てるでしょ、ハクマ君の部署でもそういうことなかった?」

「たしかに、何でこんなところまで避難指示がって思ったことはありますが。撤退を急いでいたのは報道陣が集まってくるからなんですか?」


ふいに映像が切り替わり雨の中、巨躯同士の戦闘後の荒れた地面を現場から中継している。


「う~ん。それもあるねぇ~」

「面倒だからね。都市の報道陣は上から安全に守られているから何したっていいと思ってるし、逃げるが吉なのは確か。もう何年も民間人の死者は出していないのにこんなくだらないことで、死者数0が途切れちゃう。せっかく防衛隊が護祈の到着まで被害を減らすために引き付けてくれているのに」


ため息をつくユウスイの肩をカヅキがつつく。


「死者数……あの、巨躯での最後の死者って7年前の……」


食事を終えたルツキはハクマの話を遮るように立ち上がり部屋を後にする。


「ごちそうさま、疲れたから部屋に戻るわ。何かあったら読んで頂戴」


ユウスイとカヅキも食事を終え自分のデスクへと帰っていき、最後までスープを飲んでいたメロウが答えた。


「そうねぇ、7年前の巨躯との戦闘での犠牲者が最後で過去最大の被害者数だったわねぇ」

「あの戦いで俺防衛隊に入るの決めたんすよ」


「私もあれはひどい被害だったねぇ、都市から離れた町で暴れたスケール4の巨躯。当時は都市への引っ越しもあまり進んでいなかったからシェルターもない町で大勢が逃げ遅れて」

「あんなことを二度と起こさせないために、俺防衛隊に入ったんです」


「ここの子らは大体みんなおんなじ理由だよ~。でもそれならここじゃなくて戦車隊や航空隊とかに入ればよかったんじゃなぁいの? あっちならスケール2くらいの巨躯なら戦って倒せるし~」

「いや本当はそういう部署でも働きたかったんですけど、前に勤めていた荷物整理の部署も悪くなかったんですよ。巨躯と戦う護国獣を動かしている護祈がどういう人なのかと知りたくて。何なら俺でも護国獣を操る護祈になれないかって」


モニターや書類が並ぶデスクの向こうから頭の先だけ見えるユウスイの声が響く。


「それは無理。護祈は小さいころからアースライトの適合テストを受けているから普通の人間じゃ変身すらできない」

「そうなのか。てっきりアースライトさえあれば誰でも……」


「アースライトは誰でも買えるってわけでもないから。それこそエネルギーの塊、扱うのはそれなりの組織や機関。ここ護国防衛隊もその一つだし。都市ごとに管理部署だってある。そもそもアースライトの製造工場が現状世界に一つしかなく、それで全世界にアースライトを供給しているわけだから現状遊ばせておく量はない。なぜ工場を増やさないのか、アースライトの余剰量が増えれば巨躯を護国獣なんて使わず超巨大大砲のようなもので倒せるはずなのに」

「そ、そうですね」


ユウスイの説明に圧倒されそこで話は終わる。

食べたごみを片付けハクマはすぐに仕事用のデスクなどの自分の荷物を部屋に運ぶ。

物を運ぶついでにカヅキが住み込みで暮らす宿舎と基地内を案内する。


「あっちが司令部と情報部の直通エレベーターがある棟、向こうが研究開発部と救護部、あの団地みたいに並んでいるのが戦闘部隊の宿舎、倉庫は知ってるよね」

「ここ……なんですかね?」


「そう僕らの出動はいつになるかわかないから倉庫の真上に居住施設を設けているんだ。それに護祈が不要に人と会うストレスも緩和できる」

「護祈って思ってたより繊細なんですね」


「そうそう、ご機嫌も戦闘能力に直結するから特にうちのルツキは人が大勢いるところは苦手だから。他の護祈のところは数30人くらいいるんだけど僕らのところはハクマ君がまだ出会っていない隊長を含めて全6名という少数精鋭という少なさなんだよ」

「本当に少ないんですね」


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