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大破壊 2

ハクマを見て椅子を指さす。


「よし、座れ」

「これ拒否とかできるんですか?」


「座ったらこれをつけろ、そしたら枷をつけるわかったな?」

「聞いてない?」


急に耳が遠くなった老人にあきらめをつけてハクマはメガネ型のデバイスをつけて椅子に座る。

椅子に付いた枷にハクマの手足を固定し老人はハクマのかけたメガネ型のデバイスと自分の端末をつないで動画ファイルを探す。


「いかがわしい奴期待してもはないぞ、仕事用の端末だからな。持ち出し禁止だし動画のデータは複製できないようにされている、そんなものに入ってはないぞ」

「期待してませんよ、ところで映像を見て俺は俺でいられるんですか?」


「ルツキに手を上げる前と上げた後で何か変わったか?」

「いいえ」


「なら問題ない。さてこの辺だったが……」


リウガンの声を聴きながら動くカーソルを目で追っていると唐突に動画が始まる。


「お? おお、始まったか」


動画は誰かが録画した映像のようで始点がよく動く。

聞き取れないが何かの放送とサイレンのような音が鳴り響き、小さな少女が先を進み何処かの建物を出る場面から始まった。


『お姉さまたちは!』

『どちらも保護された、ここを離れるぞルツキ。情報が足りず迎撃に出た護国獣は返り討ちにあった、今回の巨躯はかなり強力だ。危険度はスケール4になるかもしれない。今巨躯はまっすぐ都市へと向かっている防衛隊の到着も絶望的だろう、今回は止められない。この町はその通り道になる、その前にここから離れるぞ』


少女と撮影者、それと何人かの護衛とみられるスーツ姿の者たちの体の一部が画面の端にちらちらと移る。

時折町へと画面が移動しそこには慌てふためき逃げ惑い町から離れるため交通機関へと向かって行く姿。

何人かは車道へと出て逃げ出す車両を強引に停車させ強引の乗り込む姿が見えた。


『でも町の人が、まだ大勢います。戦わないと、今戦えるのは私ですよね! おじいさま、私にアースライトの変換器を、私が戦います!』

『避難指示は出ている。ここから離れればいいんだルツキ、早く車に乗れ』


嫌がる少女の手を引く手が止まった。

カメラは街頭へと向くとその先端が左右に揺れている。


『でも、今戦えるのは私で、私は護祈で、アースライトもあって』


もう一度少女の手を掴み駐車場へと向かおうとするが、少女は手を振り払い後ずさる。


『近いな、移動速度を上げたのか。30分せずにここに来るぞ』

『だからおじいさま! 私が、ルツキが戦います』


少女はカメラに向かって手を伸ばす。

スーツの護衛たちの何人かはその間に車両をいつでも動かせる状態にして二人のそばに車両を寄せる。


『お前の護国獣は調整中で戦闘はまだ無理だ、今戦えば肉体的にも精神的にもダメージが大きくどうなるかわかったものではない。わかったな、なら逃げるぞ。お前の初陣はもっと後だ』

『変身して情報を集めます、お姉さまたちに巨躯の情報を』


『まだお前の体に長い時間をかけてなじませている段階で、調整が不完全で傷を負えば体がどうなるかわからんのだぞ。それに、無線による支援もない完全に一人で戦うことになる』

『でも、今戦わないと……そのために護祈はいるんでしょうおじいさま!! 私は大丈夫です、戦います。護国のために、国民のために、おじいさまのために』


まっすぐとカメラを見る少女、そしてもう一度手を伸ばしカメラマンはどこからか金属製の箱を取り出す。

箱の上面を親指で撫でるとオレンジ色に光りカチリと音が鳴って箱が開き中からペンダントが出てくる。


『使い方はわかるな。距離を取り……』

『行ってきます』


ペンダントを受け取り少女は無人の駐車場へと一人かけていく。

立ち止まると当時に少女を光が包み大きくなっていくと見慣れた影刃青輝の姿が現れ、建物にぶつからないよう慎重に町中を進んでいく。


カメラマンは車両に乗り込み避難のため移動を始めた。

突如現れた護国獣にすでにパニック状態だった町中は叫び声であふれる。


巨躯の迎撃は間に合わず町中への侵入を許す。

町の中は黒煙と轟音が響き姿は見えないが巨躯が都市へと向かって進んでいる。


「そろそろ出てくるころ合いか、見終わったら読んでくれ」

「そっちでも見えるのか、背中がかゆいんだが」


「集中しろ」


あちこちで事故が起き浮遊車が事故現場を飛び越えていく。

町のどこからか地面を揺らすほどの咆哮がカメラマンのいる車の中まで響いてくる。


『戦いが始まったか、無理はしないでくれ』


すでに警報が流れた後で大方の部分では避難が進んでいる。

大きな道路に差し掛かった時、巨躯と護国獣がぶつかり合う種難が見えた。


『いたな、車両を止めてくれこれだけはなれていれば捕捉されはしないだろう、戦闘の流れ弾にやられなければ』


車両は停止し戦闘を観察し始める。

しかし機器の故障か巨躯の姿がノイズで乱れうまく認識することができなくなる


「画像が乱れるんですけど、これなんですか」

「ああ、映像は加工してある。当然だろう見れば攻撃性が増し犯罪者になるような危険な代物を、本当に幻歌響迷の姿を見せると思うか? ハハハ、冗談だよ怖かっただろう。ただ本当に幻歌響迷の脳に与える影響は大きい、厳重に保管してあったとしてもいつ流出するかわかったものではないからな」


ノイズが一時的に晴れるとビームに右腕を焼かれ後退する影刃青輝の姿。

周囲の建物が倒壊し護国獣を飲み込んだ。

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