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憎しみの標的 2

銃は散弾銃、弾は左右の壁をつき破ったバリアに阻まれ四方に飛び散る。


「撃ってきた……」


襲撃者は自分で撃った銃の反動に驚きしりもちをつく。

そのすきを逃さずハクマはバリアを消して襲撃者にとびかかり銃を遠くへと放り投げて取り押さえる。


白い銃から放たれるのがオレンジ色の球体ならば相手を拘束するのに楽なのになどと考えているとゴゴンと町全体に響く重い音。


「狙われてる!」


路地裏からでは弾丸がどこから放たれどこに飛んでいったかを知ることはできない。

振り返るとそこにメノウとルツキの姿はなく、すでにどこかの建物の中へと逃げ込んでいる様子。


「お前たちは何人だ」

「さっ三人だ」


ヘルメットをかぶり素顔の見えない襲撃者の素直な答えに驚くハクマ。

嘘の情報かもしれないということも考えたが何処かで建物ごと貫く攻撃を行っている以上、他にルツキの位置を伝えるものがいるのも確か。


襲撃者の声は若くはない鍛えている様子もない細い腕をひねりあげたまま引き起こし他に武器を持っていないかを調べる。

予備の弾丸二つがポケットから出てきた程度。

それらも捨てて二人の無事を確認する為に襲撃者を歩かせ逃げたルツキを探す。


近くに朽ちて壊れた扉がありその建物の中に二人分の足跡。


「こっちか」


時折プロペラ音が聞こえるが近づいてくる様子はない。

救助のための装甲車などもいまだ来る様子はなく走る足音が建物の奥から響いてくる。


「こっちは制圧した。戻ってきていい!」


呼びかけに数秒遅れて建物の奥から返事が返ってきた。


「今そっちに戻るわ~!」


ハクマが足跡をたどって歩くとホテルか何かのラウンジに出る。

足音が響いてきて螺旋階段の脇からルツキの手を引くメノウの姿。


「良かった、捕まえたのね」

「また撃たれた、まだ何人かいるわよぉ」

「こいつの話によると全部で三人らしい。撃ってくる奴ももう一人」


などと話しているとその場にいるもの以外の足音が響いてきて皆に緊張が走る。


「こいつは散弾銃を持っていました」

「なら、こっちもたぶん丸腰ではないでしょうねぇ」


白い銃を足音が聞こえる方へと向けていると玄関ホールの先、割れた入り口の外でチカッと光った。

ハクマは反射的に銃を光ったほうへとむけると遅れて弾丸が飛んできてバリアに弾かれ壁が轟音を立てて崩れ、さらに遅れてゴゴンと音が鳴る。


壁の破壊音と同時に出てきた襲撃者は驚きよそ見をしているルツキに散弾銃を向ける。

バリアは狙撃を防ぐために使い襲撃者が出てきたほぼ同時のタイミングでは防ぐことはできなかった。


ハクマの持つ銃のバリアに頼るためメノウとルツキもハクマのそばに集まっていたため、散弾銃の弾丸は飛び散りハクマの腹と頬をかすめる。

この襲撃者も銃を撃った反動を制御できずによろけ、もう一度銃口を向けてくることには白い銃でバリアを張っていた。

二発目の攻撃を弾くと遠くから町中を複数の車両が走ってくる音が聞こえる。

その音を聞いた襲撃者は掴まった仲間を見捨てて慌てて逃げ出す。


『このあたりに護祈殿はおられるだろうか!』


車両に搭載されているスピーカーからの音質の悪い音声。


「あんな大きな声で狙撃が怖くないのか」

「あれだけ大きな発射音に知らないわけはないものねぇ」


逃げ出した襲撃者の足音が遠ざかり大きく息を吐く。


「終わった? ひやひやしたわねぇ……」

「襲撃者……隊長が怪我した以来ね。ありがとう、ってハクマ!」


急に体の力が抜けハクマが体勢を崩す。

膝をついた自分に驚くが自分が血を流していることに気が付く。


「あ?」


頬と腹から流れ出る血をお礼を言うために近寄り、バランスを崩したハクマに駆け寄った頬から流れる血に気が付きルツキが気が付き慌てる。


『すでに砲撃の発射地点には人が向かっており制圧の報告を受けた、これ以上弾は飛んでこない。出てきていただけないだろうか!』


取り押さえていた襲撃者が逃げようとしたが、メノウがハクマからとった白い銃を向けると両手を上げておとなしくなった。

銃を受け取る際に顔と腹から出る血に気が付くが、逃げ出そうとする襲撃者を優先するメノウ。


「そのまま膝をついていてねぇ、逃げようとしたり危害を加えてきそうになったらうつわよぉ」


性能的に弾丸が出るわけではないが見た目は銃のため、メノウはそのままはったりとして使う。


「メノウ、ハクマ君がっ! 顔を撃たれてる」

「わかってるわよぉ。でも逃がすわけにはいかないわ」


襲撃者の一人に銃を向けたままルツキにデバイスを借りて、念のために彼女から距離をとって連絡をとる。


『ルツキ!!』

「ごめんねぇ、ユウスイちゃん私よぉ。ハクマ君がちょっと怪我した、外にいる救援は本物かしら~?」


『ああ、防衛隊を町の中に行かせた。どこ逃げてるか知らないけどもう安全、ジャミングも解除したし、改造された冷蔵機能付きのトラックに取り付けられた砲台、スマートポインタは押収。周囲の人間がいないことも確認済み出てきていいよ』

「ルツキちゃん保護を受けて、人を呼んで襲撃者とハクマ君の回収を頼んで」


二つ返事で走り出すルツキ。

数分と立たずに走って増援が来てルツキの保護と襲撃者と負傷者のハクマの回収が行われ廃墟を後にする。


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