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憎しみの標的 1

奇跡的に誰にもあたらなかったが通信デバイスは壊れ置いてあった床は大きく抉れている。


「対陣地攻撃兵器!」

「要塞とかトーチカとかの壁を撃ち抜くあれですか? 電源装置とか弾薬庫とかを破壊し位置がわかっているなら暗殺とかに使う大型狙撃兵器よねぇ。重量物で輸送機とかに取り付けれてて、もう使われてないはずじゃ」


「……何でデバイスが狙われたのかユウスイに聞けば詳しいことがわかるんだろうけどぉ……とりあえずバレちゃったから逃げるわよぉ」

「はい」


再びルツキを抱え建物の中を通って移動を始めた。

建物の中は部屋によって家具などが完全に撤去されたものから、必要なものだけを持って居なくなり要らないものが放置されたままの部屋など様々で、メノウは残されたものの中から使えそうなものを探す。


「ハクマ君もデバイスは持っているわよねぇ」

「はい、連絡しますか?」


メノウはアースライトの力を撃ち出す白い銃を取り出し構える。


「いいえ、デバイスだけを狙ってきたから不用意に使うのは危険ね。何かあるのかも」


近くで何かが近づいてくる音が聞こえハクマとメノウは足を止め耳を澄ませ様子をうかがう。

音は電動バイクか何かでゆっくりと速度を落とした状態で静かに砂を踏む音が壁の穴の向こうから聞こえてきた。


「助け、ですかね?」

「なら呼び掛けてくるはずよぉ、それにまっすぐここに来たわ」


小声で会話し姿勢を低くしてゆっくりと歩き、先ほど攻撃を受けた建物から距離を取ろうとする。

電動バイクの音は止まり小さな足音が響いたのち建物の中に入ったようで静かになった。


抱えられているルツキも次第に具合がよくなってきたようで意識もしっかりとして現在の状況を認識し自分で立って歩く意思を伝える。

抱えていたルツキを降ろると彼女は姿勢を低くし白い服についた汚れを払いながら訪ねた。


「ねぇ、これ私狙われてるやつよね」

「ええ、ごめんねぇ。すぐにこの場から離れればよかったんだけどぉ、着陸に手間取ったみたい」


「仕方ないわ、私が町を破壊しながら移動したんだもの土煙や誇りも舞い上がっただろうし。それよりさっきの音は攻撃よね」

「もう近くに来ているわぁ。多分別の人だけど」


「ねぇ上に逃げない? 屋上に、カヅキが迎えに来れるかも」

「見通しがよくなれば狙われるわよぉ。それに屋上に上がれるとも限らない、施錠されていれば開けるには手間取るし大きな音も出るからねぇ」


足音が聞こえないか後方に注意を払っていたハクマが訪ねる。


「襲撃者、複数人いるんですか?」

「さっき言ったでしょう、ルツキちゃんを狙っている人は大勢いるってぇ。こんな大それたことを個人でできることはないでしょぉ。そういえば、前に海外のヒットマンが捕まった話もあったわねぇ。あの時はまだ相当が終わっていなかったスケール1の巨躯にやられてしまって情報を聞き出せなかったけど」


ふと足元を見れば積もった埃に点々と続く自分たちの足跡。

痕跡を消すこともできず襲撃者から離れるため早歩きで次の建物を目指す。


「ルツキちゃんの持つアースライトで防御結界を作れはするけど。う~ん、ハクマ君に銃を持たせなかったのはぁ~……。まぁ妥当よねぇ」

「信頼を損なう行動をしましたからね俺は」


背後から窓ガラスを踏む音が聞こえメノウは自分の持った白い銃を構えて自分たちが通ってきた道を振り返る。


「このままじゃ見つかるわよね?」

「俺が一か八かで応援を頼みましょうか?」

「先に襲撃者が来るかもねぇ。また狙撃されるかもしれないし、最悪はルツキちゃんが護国獣に変身して逃げ出せるけど」


声を殺してルツキが声を荒げた。


「そんなことしたら、あなたたちが」

「だから最悪はなのよ。私だって死にたくはないわよ~。とはいえルツキちゃんを放って距離を取るなんてしたら、その間ルツキちゃんは無防備だし」


戦闘していた場所から離れてしまい壊れた建物が減ったことで入れる建物が無くなってしまい外に出て建物の裏側、裏路地のような狭い道を歩き始める。

放置されたごみと荒れ放題で膝上より長い草が茂っており、道も二人ほどが並んで歩ける程度には開けて見通しが良いためガサガサと音を立てて走り出す。


「どこか曲がれる場所がないと」


走るといっても草が茂り足場も悪く、一人は疲弊しているため速度は早歩きより少し早い程度。

体の大きなハクマが殿となり二人を先に行かせる。


「来たぞ後ろに一人」


走る三人の背後に人影。

ヘルメットで顔を隠し手には黒い銃のようなものが握られている。


「走っててよく見えないけどバットじゃないよな、銃か何か持ってる」

「一本道だから、この銃の張れるバリアで通せんぼできるかしらねぇ」


「連絡をとって狙撃されたら。どの方角から攻撃されたか覚えてますか?」

「わからないわねぇ、いろんな方向に向かって逃げていたから」


メノウがハクマに白い銃を渡す。


「ごめんね、ルツキを守って」

「なら先へ、止まらないで」


受け取るとハクマは立ち止まり白い銃を襲撃者の方へとむけた。

襲撃者の方も反撃に驚き手にした銃をハクマへと慌てて構える。

動きはぎこちなくどこか躊躇いのある動きでハクマがバリアを張ってから相手は銃を撃ち込んできた。


乾いた破裂音が静かな廃墟外に響く。


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