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闇の底 4

そこまで言うとメノウは肩をすくめ宿舎の上を見上げる。


「少し口を滑らせちゃったわねぇ。聞きたいことがあるならルツキちゃんか隊長におねがいね。もっともルツキちゃんも口止めはされているだろうから言えないのかもだけどね~」

「僕はもうルツキちゃんが戦うことで過去のことは黙ってるし、どうこう言う気はないけどね。というか隊長の話、何の話だろ」


「さぁ、こういう時はいいことがなかった気がするわね~。この間のスケール4の巨躯の招集も私たちは除け者だったしぃ」

「ということは今回も巨躯絡みなのかな」


三人は空を見上げ静かに話が終わるのを待つ。




それからはしばらく平和な日が続いたが、前触れもなく平和は終わる。

アラームが鳴りユウスイが作業の手を止めて情報を集め出しデバイスを確認したレオが皆をあつめる。


「巨躯が現れた、場所は旧市街地、急速に都市を発展させた弊害で撤去が進んでいない廃墟外だ。現れた巨躯のスケール2、一週間前に海上で確認され本日上陸、名前は雷鳴幻徒。湾曲する雷を撃ちだす80メートル級の巨躯とのことだ。出撃だカヅキ、ティルトローターの準備を」

「了解!」

「ルツキちゃんも万全よ」

「ええ、任せて頂戴」


移動中の機内でルツキが基地にいるユウスイに話しかけた。


「今日の巨躯は防衛隊で倒しきれないみたいね?」

『アースライトのエネルギー量は低いけど全部防御に変換されてるんじゃない? 見た感じ普通だけど、弱点の発光器官が見られないのも原因かも。ああ違うな、砲弾を撃ち落としてる電流で』


遠くに巨躯の姿。

直立した明るい緑色の鱗を持つ巨躯、その首元にリング状に光り続ける雷が見える。

戦車隊が後退しており後方支援の砲撃が巨躯へと降り注いでいる。


「なんかペンギンみたいだね、二足歩行できないんじゃなかったっけ?」

『バランスが悪くなるだけ、あれは半分浮いてるっぽい。体浮かせて歩いている』


巨躯が近づきティルトローターは高度を落として着陸場所を探す。


「向こうは装甲車、今引き付けているのは戦車隊か地上部隊しかいないな、航空部隊も展開していなかったかユウスイ」

『戦闘ヘリは周囲が帯電しているのと口径が小さいから撤収。戦車隊は交互射撃をしながら誘導中』

「もうすぐ到着ね、さてと頑張りますか」


すでにティルトローターは市街地の上空を移動中。

放棄されて数年程度だがすでに亜座るとの隙間から無数の草が伸び人の気配のない建物の間に着陸場所を見つけルツキを降ろす。


「じゃあ行ってくるわね!」

「いってらっしゃ~い」

「ああ、スケール2だが油断はするな」


ルツキはハクマと目を合わし小さく手を振りティルトローターから離れる、カヅキも期待を上げその場から離れた。

光とともに影刃青輝が現れると建物をよけあらわれた巨躯、雷鳴幻徒へと向かって走り出す。

巨躯は影刃青輝が認識し戦車隊を追うのをやめて向き直ると、護国獣は背中の鱗を引き抜き振り上げ咆哮を上げ二体の巨躯はぶつかり合う。

体当たりで影刃青輝が押し返され廃墟に大きな土煙が上がる。


「あの巨躯背筋いいねぇ~、ユウスイもあんな感じにピンとしない? ところでこの市街地は解体待ちだった場所?」

「っぽいわね~。重機で解体していくとお金と時間がかかるから巨躯との戦いの余波でまとめて壊してしまおうと放置された町。公には人は住んでいないはずなのよね」

「巨躯出現と戦闘区域が決まった際に警告と捜索をしている。立ち入り禁止区域内だからな人がいれば追い出すか連行しているはずだ」


力で負けると判断し影刃青輝は距離を取り武器のぎりぎり届く距離で攻撃を仕掛け、距離をとったことで雷鳴幻徒の光の輪がほどけたかと思うと影刃青輝に襲い掛かった。

細く分かれた電流が影刃青輝の体をなぞるが護国獣は攻撃の手を止めることなく鎌状の鱗を振り下ろし続ける。


「雷鳴幻徒にダメージは与えられているな?」

『硬い、けど何とか。戦車の砲撃も聞いてはいたっぽい細かい傷があるって。でもまぁ電気も弱いしルツキにダメージはそんなに入ってないし苦戦はするけど負けはしないかな』


影刃青輝は雷鳴幻徒の突進を止めることはできず体当たりを受け仰け反る。

ティルトローターは市街地から離れた場所で戦闘を見ており、報告を聞いたレオがユウスイに連絡を入れる。


「なら戦車隊に引き続き砲撃支援を要請しよう」

『了解』


誘導を終え待機していた戦車隊が雷鳴幻徒へとむけて砲撃を始めた。

雷撃は砲撃を撃ち落とすために消え影刃青輝への攻撃が消え、飛んできたビームや光弾が巨躯の周囲で弾けいくつもの爆発が起きる。


「巨躯の攻撃手段って、あれだけ?」

『らしい、海上でもあれしか使ってない。多分硬さと力しかない。あの鱗投げればいいのに、外しても自分の意志で消滅させられるんだから』

「無理を言ってやるな。遠くへの暴投ならまだしも地面に叩きつけてしまうことだってある、あの戦いで投げた鱗が被害を出したことを引きずっているんだ」


影刃青輝はとどめの一撃を放つと巨躯は倒れ光となって消え始める。


『終了、新たな巨躯の発生もなし。ルツキを回収して』

「それじゃ迎えに行きますかな」



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