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闇の底 3

「あの後方の護国獣の攻撃はまだ撃てないんですか」

「撃とうとすればチャージなしでも撃てる。チャージするだけ威力が上がる。一撃で消し去らないといけないから少しでも威力を高めてる」

「あれ諸刃の攻撃らしいから……。しばらく声も出せないし味覚も鈍らしいわ」


二体の護国獣が気を引き背中を向けさせ、その背中に向けて重聖射光が光を放つ。

太い光の束がスケール4に命中しその体は攻撃を受け大きくの仰け反る。


「耐えるの!」


守白晶龍が巨躯を取り囲むように結晶を生やして逃げ道を封じ、護硬甲牙が姿勢を低くしブレードを構えあえて正面から突撃し光線の方へと巨躯を押し込む。

腹部の腹が開くがそこにブレードを深く突き刺す。

ブレードとその接合部である頭と腕から白煙を上げるが巨躯は上半身が吹き飛び光線は空へと延びる。

戦闘が終わり周囲の結晶体とともに残ったスケール4の体はアースライトは光となって消えていく。


「……安全に勝てたわね、少しハラハラしたけど。うぅあの傷は痛そう……」

「巨躯との戦いはスポーツじゃないんだからスポーツマンシップとかないし。多くの人の命と人生がかかってる。絶対に勝てる状態で戦わないとだめだし」


「あの消化液みたいなの初めての攻撃よね? 護国獣が使えれば楽に巨躯を倒せないかしらね?」

「さっき言ったと思うけど、アースライトの変換した素材を割り出してそれに対する分解をしているから、毎回形の違う巨躯相手に使うのは時間がかかる。あと詳しいデータがないとわからないけど、あの攻撃はかなりアースライトを使うと思うよ。護国獣にそんな余力はない」


重聖射光はその場で光となって消え回収のヘリがその場へと飛んでいく、守白晶龍が白煙を上げる護硬甲牙へと歩み体を支える。


戦闘後に新たに注がれた親をすするルツキ。

ユウスイはすぐにスケール4についての情報を集めるため先ほどの戦闘映像を見あえし始める。

レオが新たに送られてきたメールに目を通していると顔つきが険しくなった。


「ちょっといいかユウスイ、ルツキ以外は一度部屋を出てくれ」

「うわ、なんか重要な奴だ僕は先に出てくよ」

「あら~、この間のかさっきのスケール4について何か分かったことがあるのかしらねぇ。ハクマ君も外に出るわよ~、ユウスイは特別として護祈にしか伝えられない大事な話だから」

「わかりました」


カヅキ、メノウ、ハクマは大部屋から出ると、メノウからそのまましばらくは宿舎から離れているように言われハクマたちは宿舎を出る。

腕輪をさすりながらハクマは宿舎の玄関わきに座り空を眺めていると、一度カヅキが戻ってくる。


「やぁ、ただいま。そういえば車両に僕の荷物置いてきてたから今取りに行ってきた。ともあれさっきのユウスイも落ち着いたようでよかったよ。何であれユウスイのことはルツキちゃんに任せるに限るね」

「まぁ、あんなにも親身になってくれる友人がいるのはうらやましいとは思います」


カヅキはハクマから少し離れた場所に座り買ってきた缶コーヒーを飲む。


「あー。かもね、ハクマ君は友人は?」

「筋トレと復讐心でだいぶ人生を無駄にしてました」


「僕と一緒だ~。防衛隊に入り乗り物の免許取り続けていけばいつかは護祈の近くに行けるって夢中になってた。振り返ってみればできることが増えていくのは楽しくはあったんだけど」

「あの二人。前から少し若いなと思ってたんですけど、まだ未成年だったんですね」


「そこね、知ると少し申し訳なくなるよね。護国獣が巨躯と戦ってる姿しか知らなかったから、どんな人なのかはあってみないとわからない。もう8年前? だから11歳くらいかな」

「何も知らずに勝手に恨んでたんですよね俺」


遅れてメノウが宿舎から出てくると二人に気が付き歩み寄りカヅキのそばに座る。


「あらルツキちゃんの話ね~」

「よくわかったね」


「玄関ガラス戸だしそんなところで話してたら響いてくるわよ~。ユウスイも昔の話をしたらしいわね~、ルツキちゃん経由で話していたことを聞いたわよぉ。私も話しておかないとねぇ」


大きく深呼吸するとメノウは普段の口調をやめて話し出す。


「私はルツキちゃんと巨躯が戦ったあの日、婚約者を失ったのよ。私はその時すでに防衛隊で働いていて大桜山の防衛隊管理の病院で働いていたの。死者は出なくても重軽傷者は出るから。ん~、それでその日は町での戦闘があって多くの怪我人が運ばれてきた、どこで戦闘が起きたとか聞いてはいたけど仕事で恋人がどうなてるかなんて知りようもなかった。倒壊した建物の下敷きになったって聞いたのは一週間くらいたってからかしらね」


そこまで言うと一度話を区切りメノウは立ち上がる。


「病院に戦闘に参加した護祈も来たわ、ルツキちゃん含めて三名。運ばれたのは他の患者とは別の護祈の調整を行う研究棟だったけど私も担当の一人に選ばれた。来た時のルツキちゃんは強いショックを受けて心肺停止状態で、数分だけどルツキちゃん死んでるのよ~。初戦闘、アースライト調整中の不完全な状態、負荷のかかる長時間の戦闘、相手は当時前例のないスケール4の巨躯との単騎での相手。ルツキちゃんの小さな体は戦闘が終わって何日も震えが止まらず、精神も不安定でちょっとしたことで恐慌状態に陥るようになってしまって。薬の投与で無理やり精神を安定させていた」


その時のことを思い出してかメノウは落ち着きがなく再度大きく深呼吸をする。


「そんな不安定な時、定時の検診でルツキちゃんを見に行ったらベットのそばにユウスイちゃんがいたからあの時は驚いたわ。病院の一部の人間と護祈の関係者しかいることを知らず、誰も入ってこれない電子ロックの扉が数枚と窓のない地下室なのにいるのよ。見た瞬間にブワッと脂汗があふれたわ」

「本当にスケール4の巨躯なのか?」


「内緒よ、基本的にデータが残っていない謎の巨躯ってことになっている」

「どうして、どうしてあの日の記録は残ってないんだ」


「さぁ、そこまでは知らないわぁ。私はただの看護師だったから」


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