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闇の底 2

ルツキとレオはモニターを見つめる。

ユウスイも眼鏡型のデバイスを装着したままテーブルの方へと移動、メノウは皆の分のお茶を注いでいく。


「この間のスケール4は放っておけばどこまで増えるかわからなかったから。今回は単体で都市にも向かわず時間はある。万全を期して人を集めているのね」

「まぁ護国獣が二体以上同じ戦場にいる時点で十分異常事態ではあるな。防衛隊も被害を出さないよう引いている。戦車隊も戦闘ヘリも飛んでいない、丘や森を挟んで放物線を描く遠距離での砲撃で誘導している」


巨躯の進行方向上にいる巨躯たちは交戦距離に入りお互い頷き合うと移動を始める。

動き出した護国獣に反応し巨躯は足を止め首をかしげながら歩く速度を上げた。


「アースライトの変換能力で実態弾に不可能な動きもビームも光弾も好きに湾曲させられるからね。気になることがあったら聞いてねハクマ君」

「ええと、じゃぁ攻撃的な形の護国獣に対して、巨躯は何でどれも奇抜な形になるんですかね?」


ハクマからの質問を待っていたルツキともう一人がスイッチが入ったかのように話し出す。


「巨躯が生まれる成り立ちはわかっていないけど、巨躯はどれも生き物が形にはなっているといわれているわ。頭も手足もない無機質なものも含めてね、あれは何の生き物なんだか知らないけど」

「正常な形には出力されてないよ、首が二つあったり足が複数もあったりするし、それに空中に浮くのはアースライトの力だから手足がなくて歩ける歩けないは関係ない。鉄な塊でオブジェやデコレーショントラックを作るのが巨躯、戦車を作るのが護国獣みたいに考えるといいよ、護国獣は戦うに特化した形を作ってる」


「巨躯は適当に体を作っているからスケール2程度の護国獣でも十分戦えるのよ」


向かい合ってはいるものの巨躯との戦闘が始まる前のため話に熱の入る二人を横目にカヅキたちが話しかける。


「ねぇ、今はあのスケール4を見るべきだと思うけど?」

「ルツキちゃんもいつもの調子が戻ってよかったわねぇ」

「前向きに護国獣や巨躯を学んでくれていれば戦闘に役立つ、それでいい」


身を震わせ体から氷が生えるように半透明の結晶体を発生させて身にまとい守白晶龍が前に出た。

それに続いて護硬甲牙が頭の先端と両腕から赤く発光し陽炎を纏う長いブレードを伸ばしスケール4へと向かって歩き出す。

二体の後ろで重聖射光が身をかがめ両足のアンカーを地面に撃ち込み、開いた胸と背中の鱗の隙間から空気を吸い込み大きく開けた顎の中に光を溜め始める。


「あの明らかにビームを撃つに特化したみたいな護国獣は見た目通り威力の高いビームを撃つの?」

「重聖射光は遠近両方に対応したエネルギー照射型の護国獣。護祈も趣味は弓道と、集中力と視力の良さを生かした護国獣。姿勢を低くしたのは最大火力照射モードで地面や海面を撃たないようにしている」

「姉さまはあがり症で、人前に出るときはいつもサポートチームの誰かの後ろに隠れがちだけどね」


急に巨躯の腹が裂け大きな口になると半液体半固体のようなドロリとしたものを吐き出す。

唐突な攻撃に護国獣たちはバリアーを張って身を守ろうとするが張ったバリアは数秒と持たず消滅し、そのまま攻撃を浴びた。


「エネルギーの中和? 海洋型の護国獣に嚙みついたときにアースライトの変換成分調べられたか」

「どうゆう事? あの巨躯も咆哮か何かで護国獣のアースライトで変換した材質を調べたの?」


「物質は溶けたり錆びたり性質が変わるでしょ、あのゲロは逆変換物質みたいなものアースライトに変換し直してる。護国獣は量産品だから、一体を調べればすべてに効く……。ルツキの影刃青輝も他と形は違うけど体を形成するアースライトの物質変換だから浴びたら持たないよ」

「そんなことができるの?」


守白晶龍は即座に身にまとった結晶体を振り落とし新しい結晶を生やすが、護硬甲牙は悶えるように咆哮を上げ後ろに後退する。

予想だにしない攻撃にルツキも驚き自分の分のお茶をひっくり返しメノウが慌てて大ふきを取りに行く。

二体に守られた重聖射光は攻撃を行う動作のままスケール4に狙い続けた。


「何やってんのルツキ……。前から巨躯はビームが効かなかったら接近戦に、攻撃を防げると知ったら防御しながら歩き出す、ある程度の理解力は持ってる。その結果攻撃方法がワンパターンになるけど」


スケール4に噛まれないように距離を取りながら守白晶龍が光弾を巻き着弾した地面から結晶を生やす。

数メートルから十数メートルに伸びた結晶から巨躯へと向かってレーザーが照射される。


「結晶を生やすの、許可出たみたいね」

「スケール4で何するかわからないから制限なしで暴れるでしょ」


攻撃を受けた個所からアースライトが煌めく白煙を上げながら護硬甲牙が戦線へと復帰する。

注意が逸れよそ見をした巨躯に向かって頭と両腕の三本のブレードをまっすぐむけると突進し、頭の二つの口が護硬甲牙へと向こうとすると守白晶龍が尻尾に大きく固めた結晶体を振り回し頭へと叩きつける。


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