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闇の底 1

夕食。

少人数のルツキのサポートチームは全員で集まって食事をする。

まだ居心地の悪さを感じているハクマのことなど無視して料理がテーブルへと運ばれてきて皆が大テーブルへと集まった。


「ルツキちゃんが張り切ったわよぉ~、体痛むはずなのに」

「手間のかかる料理で付き合った僕らも大変だったけどね、今日誰かの誕生日だっけ?」


配膳のカートを運んできたルツキがエプロンをたたみながら席に着く。


「ハクマ君が帰ってきたからかしらね?」


作業をしていたユウスイとレオが仕事机をはなれ食事の並ぶテーブルへと向かう。

カヅキは小皿を並べながら皆の分のお茶をくむメノウに話しかける。


「そんな祝う事?」

「とはいえ、ハクマ君が帰ってくるって聞いてからルツキちゃんの精神の回復はしているのよねぇ。嫌あんな別れ方だったからずっともやもやしてたんだろうけどぉ」


「でもさ、ハクマ君の監視は続くんでしょ」

「ええ、ルツキへの接近は極力避けるってのは必要よねぇ。戦闘後の回収はお願いしないといけないけど~、私が近くで見守りはするわぁ。報告もあったし護衛も兼ねないとねぇ。さていただきますしましょうか」


食事を終えハクマは食後の片づけを手伝っているとレオの端末に通知がなる。


「スケール4が出た。担当区域はここではないが何かあった際に応援に迎えるようにルツキは待機、皆も出撃の準備だけはしておくように。ユウスイ情報を集めてくれるか」

「またスケール4、ほんと何が起きてるのさ」


ルツキとメノウが早歩きで部屋を出ていきユウスイが走って自分のデスクへと駆けていく。

レオは眼鏡型のデバイスを装着し空に向かって指を振り始めた。

ハクマとカヅキは食器の片づけをしながら訪ねる。


「この間出てきたスケール4は弱かったんですよね?」


ユウスイがカタカタと音を立てモニターから目を離さずに答えた。


「強さで言えばそこまででも。自己再生能力と増殖、時間を与えたらダメなタイプではあった。連携もせずばらばらに行動はしてたけど数が増えて密集して行動されたら束になって対処しても護国獣が何体集まっても勝てなかったかも。足止めの地面から生える木が接近の妨げになってたって」

「ああ、地面深くから伸びてましたね。巨躯とは別に生成されていたんですか?」


「はぁ? いや、結晶とかを生やす光弾、アースライトの力を撒いていた反応はなかった。巨躯本体から伸びていたはず」

「しかし、綺麗に穴が開いていたけど地面に」


「あとでみてきるよ、仕事増やして。隊長、向こうの戦闘をモニターに映す」

「ああ頼む」


ハクマがいないうちに遠隔操作でミニターに映像が映せるようになっておりユウスイはデスクから動くことなく大テーブルの前にある大型モニターの映像を切り替えた。

片づけを終えたカヅキがティルトローターのキーを手にテーブルへと移動する。


「呼び出しはかかりそうなの?」

「戦闘はこれから」


夜間、サーチライトと月灯りに照らされたぶよぶよとした白い巨躯が映る。

頭と思わしき場所に二つの口が付いており、頭から背中にかけて伸びる8対の触角らしきものを揺らしながら歩いていた。

それほど大きくないようで道路や周囲の木々、建物と比較して小さく見える。


「なんとも気持ちの悪い巨躯だな」

「烏賊とかナマコとか海洋生物みたいな気持ち悪さがあるね」


護国獣が三体、攻撃態勢で待ち構えていた。

多少の差異がある基本的な量産型の護国獣たちは発光器官を光らせ攻撃開始の指示を待っている。


「あれは接近戦型っぽい、名前は現在会議中。珍しくシールドはなく防衛隊の攻撃は命中はするけど大したダメージにはなってなくてあんな見た目で硬い。顎が伸び噛み付くと口の中でゼロ距離ビームを撃つ、沖で海洋型の護国獣が接近時にやられてる」

「守白晶龍と護硬甲牙で気を引いて、重聖射光の遠距離でダメージを与える。効き目があればそのまま残りの護祈が変身して取り囲み距離をとって数で圧倒するという作戦のようだ。作戦自体はうまく進んでいるようだ」


スケール4の巨躯は防衛隊の攻撃を受け攻撃を受けたほうへと向かっていく。

巨躯は時頼大きく身を震わせ周囲をきょろきょろとしている。


「ユウスイ、見たところ普通の巨躯との差異はなさそうだが、どの辺がスケール4なんだ?」

「噛まれたらほぼ即死、護国獣がね。護祈は回収済み。噛まれたときの測定時にかなりのアースライトのエネルギー数値が出た」


白い服に着替えてきたルツキが戻ってきてモニターの正面の席に座った。

メノウがあとからやってきてルツキの服装を隣で整えている。


「戦況は、勝っているの?」

「護祈が揃ったら数で叩くだけ。この間のスケール4の脈動緑鱗でピりついていたところに今回だからね。対応が早いよ」


「なら勝てるのね」

「問題は今回も発見が上陸ぎりぎりになってから、今そっちの調査も必要になってる。今回は特に陸に近かったから、防衛隊の警戒を潜り抜けるほどの高い知性はないはずなのに」


巨躯は海岸線を移動しているようで、映像には月明かりが反射する海が見える。


「都市には向かっていないみたいね」

「防衛隊の誘導につられる程度にはふらふらとしてる。正直この間のスケール4とあまり変わらない」


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