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過去に捕らわれる 3

彼女は席を立ちハクマのもとへと歩いてくる。

今にも武器を取り出し飛び掛かってきそうなユウスイはハクマの前に立つ。


「どんな過去があっても行動に移した、私は許さないから」


小さな彼女は顔を上げ噛み付きそうな顔でハクマを見ると拳を握り腹と叩いて近くにいたメノウに背中を押されて席に戻った。

先日まで包帯が巻かれていた腕をさすりレオが話を始める。


「とりあえず、ハクマの仕事は私の代わりに戦闘後のルツキの回収を任せる。呼び戻したからには何かしらの仕事はないといけないしな。それまでは今まで通りの業務をしてもらうぞ」

「一応移動中に持ち物チェックはさせてもらうわよ~。信用度は低いからねぇ。護祈ラショウの力の話は聞いてはいても絶対じゃないらしいし~」


「それではすぐに仕事を始めてもらおうか」

「ハクマ君が居なくなった後、あなたのことをもう少し調べたり掃除はしたけどあまり物は動かしてないからそのままのはずよ~」


遅れてカヅキが帰ってきてレオとユウスイと話した後自分の席に座る。

まるで何事もなかったかのように流れる時間に居心地の悪いハクマは、仕事に中中しようと過去出現した巨躯の資料を読みふける。


過去現れた巨躯のほとんど情報がまとめられているアーカイブも過去に町を襲いルツキが戦いった巨躯の情報はない。

すでに過去が知られている以上そのことを隠れて調べることもしなかったが、情報がないことを尋ねようにもそれに詳しいであろうユウスイはハクマを警戒していて聞けそうにはなかった。


「そういえばだけどさ、ハクマ君に僕らの話した方がいいんじゃないの? 僕は話したけど、一応みんなも話しておいた方がいいんじゃないって思うんだけど?」


カヅキが誰に言うわけでもなく呟き皆が彼女を見るが、そこに割って入るように隊長のレオが皆に聞こえるように口を開いた。


「巨躯が出現した」


カヅキは出動かと席を立とうとするがメノウが問いかける。


「この間戦ったからルツキちゃんはお休みのはずよ~。連戦は精神的によくないもの~」

「最近出現頻度高くない? やっぱり何かあるんじゃない?」

「わかっている、がこの辺の護祈は同じように先日のスケール4の討伐に駆り出され戦った。ルツキは傷の回復が早いため、もう戦場に出られるだろうとの判断だ」


「あの時、戦える子はとにかく急いで投入されたみたいだしねぇ。でも一度巨躯と戦闘したなら少しの間は戦闘には出ないって約束じゃない」

「もう一人の護祈のレイサちゃんの方にお願いできないのかな?」

「難しいな、経過報告では今は落ち着いてはいるみたいだが。動いてもらうにはもう少し時間が必要かもしれない」


「痛いし怪我するしアースライトの力で酔うし、いいことはないからねぇ。もとより少し戦闘向きじゃないし」

「ならルツキちゃん呼んでこようか? 隊長が言ったってことは出動命令がかかってるんでしょ」


レオは少し悩んでは口を開く。


「とはいえスケール2だ、もしもに備えて後方待機を命じられている。ともあれ向こうもこの間の戦闘に影刃青輝が出ていたことは知っているんだろう。戦場に出れるなら返事をという、護祈の誰かが向かわなければならない」

「都市に被害が出そうでないのなら防衛隊だけで仕留め、戦えるようならば護国獣を投入し巨躯を倒す。……ならいいんじゃない? 巨躯とのもう戦闘は始まってるんでしょ、もしかしたら準備中に戦闘終わるかもだし」


メノウは席を立ちレオからタブレットを受け取る。


「そうねぇ、少しルツキちゃんと話してくるわねぇ。大丈夫そうなら隊長に連絡する」


レオが頷くとメノウは部屋を出ていく。


「ユウスイ、今出現している巨躯の情報を集めておいてくれ」

「もうやってるし」


ユウスイは自分のモニターの映像を見せる。

巨躯はまだ海上で高速船の攻撃を受け上陸地点を誘導されている最中。


「命名はまだ、ついさっき見つかったばかりみたい。40分前かな、高速船の攻撃が命中した場所に損傷。スケール2の判定はこれでか」

「普通に戦ったら上陸後の迎撃の一斉射でだいぶダメージが与えられるんじゃないかな」


自室にいるルツキに会いに行ったメノウからの通信が入る。


『ルツキちゃん大丈夫だって~。体調もよさそうだけど、戦闘はできるなら避けた方がいいわねぇ』

「では行こうか。カヅキ、ティルトローターの準備を」

「オッケイ!」


ユウスイを除いた皆が椅子から立ち上がり部屋を出る準備を始めハクマも席を立つ。


「ハクマ君、ルツキの事よろしく」

「え、ああ、はい」


階段で護祈の白い服装に着替えたルツキを見かける。

彼女もハクマに気が付き小さく手を振る。


「もう来てたんだ、知ってたら会いに行ったのに。誰も教えてくれないんだもの。元気にしてた?」

「まぁ、何とか。そっちは、大丈夫なのか首とか」


「折られたわけでも本当に殺しに来たわけでもなかったから大丈夫だけど、気にしていてくれたんだ」

「少しは警戒とかしないのか」


「慣れてるから。カヅキから聞いたけど彼女の昔の話は聞いたんだったよね。カヅキが私のところに来た時、恨み言と暴言を追いながら掴みかかってきて隊長とメノウが止めてくれたっけ」


そこまで話すと階段の上から声が響いてくる。


「ちょっと! それ僕がいない時に話してくれないかな!」


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