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移動災害 4

建物の上に人影を発見し、その頭上でドローンが退去命令を繰り返していた。


「あの建物の上だ!」

「抵抗したら遠慮せずに撃て、抵抗しなければ連れ帰るんだ」


目と鼻の先までスケール1の巨躯が転がってきており射撃で食い止めようとする。

攻撃を受けオレンジ色の球体に包まれると2匹は巨躯は動きを止めそのすきに双子を下に残してハクマと大男が建物の中に入り、階段を探し上へと上がると屋上にサイバネティクスのネオンの光を放つサイボーグが立っていた。


「この場所は現在封鎖され立ち入り禁止だ、速やかに大挙してもらう。さぁこっちに来るんだ」


銃を構えて大男が呼びかける。

半身を機械にした者は何も聞こえていないかのようにシャッターを切り続けている。


「頭に入れるだけデータ入れて持って帰る気か無駄なことを」

「時間がないんですよねさっさと連れて帰りましょう」


戦闘ヘリが一機飛んできて建物の下で身動きが取れないでいる赤い球体の巨躯を倒し飛び去っていく。


『ナンバー4、ナンバー2から増殖した脈動緑鱗に新たにナンバー5、ナンバー6の番号を設定』


ハクマと大男は抵抗を警戒しゆっくりとサイボーグに近寄り腕をつかんで膝をつかせ取り押さえる。

近くにはデータの送信機のようなものが置いてあったがドローンの電波妨害によって送信は阻害されていた。


サイボーグを取り押さえ送信機の電源を落とすと建物を出る。

すぐに軽装甲車が迎えに来きてサイボーグを車両に乗せその場を離れた。


『現在、巨躯は6体、正龍爆拳、夢龍聖懐、聖龍爆甲、護盾蒼鱗、護蒼豪腕、影刃青輝がそれぞれ応戦中。追加で護祈を4名追加の準備移動中!』

「もう手一杯じゃないか」「次に分裂する前に倒してくれないとまずいな」


現れた巨躯は攻撃力はないものの脈動緑鱗の周囲の成長する植物と巨躯本体の防御力でいまだ一体も倒すに至っていない。


丘の上で戦う夢龍聖懐、護蒼豪腕の姿。

護国獣の体には赤い球体が張り付いていて光弾を放つ発光器官や頭に集まっている。


戦闘ヘリの援護とともに巨躯との接近戦となり至近距離で何発もビームを撃ち込み大量の土埃が舞う。

発光器官を塞がれている個所ではビームが暴発し護国獣がダメージを追う。

巻き上がった土煙は風向きでハクマたちの車両の方へと流れてきて車両の視界がかすむ。


「またスケール1の巨躯が来たぞ!」「こっちにまっすぐだ」


土煙の中を突き抜け転がってくる赤い球体。

皆の注意が巨躯に向いた瞬間、おとなしくしていたサイボーグが暴れ出す。

急なことでハクマは足を押され身を乗り出していた車両から落ちる。

咄嗟に地面に向かって銃を撃ちオレンジ色の球体が膨らみハクマを飲み込む。


「その中なら安全だ、しばらくそこにいろ」


大男の声が響き車両は止まることなく走り去っていく。

オレンジ色の球体の中は水の中の様で体が軽く、どれだけもがいても外側に出ることはできないが呼吸はできた。

動くことができないとわかるとハクマは4体の戦いの方へと目を向ける。


『正龍爆拳がナンバー1を撃破! 脈動緑鱗には火力での圧倒が有効なようです!』


無線機から戦況の報告が響いている。


『影刃青輝がナンバー6を撃破! 報告によると脈動緑鱗の巨躯の姿は着ぐるみで、中に核と思われる球根状の形をした小さな巨躯が存在しているとの情報がありました。核の位置を集中的に攻撃してください!』


報告を受けると護国獣たちの行動が変わった。

頭ではなく胴体の一点に向かって拳やビームを撃ち込み続け始める。


『護盾蒼鱗と影刃青輝がナンバー2を撃破。核は同じ場所に存在している模様! 影刃青輝は夢龍聖懐、護蒼豪腕と戦うナンバー4、ナンバー5の援護へ向かってください』


脈動緑鱗の周囲の植物が護国獣を押し返す。


「ルツキがこっちに来るのか」


球体に捕らわれ身動きできないハクマは地面の揺れを感じながら戦闘を眺める。

戦闘音以外に足音が響いてくると影刃青輝が鎌のような鱗を振り上げて護蒼豪腕と戦う脈動緑鱗へと飛び掛かった。

振りかざした鋭利な鱗は成長する植物を薙ぎ払い脈動緑鱗へと叩きつける。


『ナンバー3、ナンバー5を撃破、残る脈動緑鱗は夢龍聖懐と戦うナンバー4だけです』


すぐに護蒼豪腕と影刃青輝が最後の一匹の方へと向き直り護国獣3体で畳みかけスケール4の巨躯を倒す。


『護祈は機甲部隊の控える安全地帯まで移動してから変身を解いてください。戦車隊、飛行部隊はまだ付近にいるスケール1の巨躯の排除を行ってください』


倒された巨躯と急成長した植物らはアースライトへと戻り少しずつ消えていく。

戦闘が終わり護国獣たちが移動を始める。


振り返り影刃青輝がスケール1の巨躯が居ないかを確認する為に周囲を見渡しているとハクマを見つけ動きが止まった。

護国獣の姿で表情の変化は乏しいが笑ったような気がし、丘を乗り越えノシノシと地面に足跡をつけながら歩いてくる。


「こっち来た。戦闘終わったから無駄に地面に足跡をつけないでくれ、埋めるのが大変になる……」


影刃青輝は近寄ってくると屈みこみハクマの入ったオレンジ色の球体を尖った爪で持ち上げると再度笑いポイと投げ捨てた。

数十メートルほど持ち上げられ投げ飛ばされたハクマは地面をバウンドし地面に転がる。


「こんな高さから、とんでもないことしやがる」


抵抗もできないままハクマはオレンジの球体の中でかき回され、揺れが収まる頃には影刃青輝はすでに丘の向こうへと消えていくところだった。


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