燻る煙 5
「向こうで巨躯が倒された」「戦闘が終了した帰還する」
運転手と話し合い無線で連絡をとると車両は捕まえた侵入者を放置して走りだず。
オレンジ色の弾もアースライトを使った物の様で、球体の中で侵入者がずっと抜け出そうともがいていた。
「質問いいですか?」
「なんだ?」「言ってみろ」
「侵入者を捕まえる、これってサポーターチームの仕事なんですか?」
「いいや、初めは人手不足だった」「道路の分岐点が多くて封鎖に人が取られて捕獲チームが少なかったためその応援が始まりだった」
捕獲された侵入者たちは防衛隊によって回収され、車両が引き返す中で暇になった双子が話始める。
「捕まえたやつの取り調べにも同伴したんだが、あいつらは護祈の素顔と護国獣の戦闘を取るのが目的だった」「体を張ってあの異形の怪物と戦うあの人らのイメージを損ねることが目的だった」
「防衛隊の無線を傍受していて巨躯出現の際は俺たちより先に現場に向かっている」「広い範囲を封鎖しているおかげで向こうは移動に手間取り追いつけているけどな、時々建物の上や山の山頂から戦闘が見える場合がある」
「そういうやつらの取った写真や動画を押収すると防衛隊で検閲する箇所、攻撃を受けよろける」「戦車隊の通じない攻撃、戦闘後で体調の悪い護祈の姿、戦闘後の荒れた現場そういうものばかりだった」
「「スキャンダルは需要があるからな」」
いらだった声で話し終えると双子はため息ついて黙り込む。
戦闘が終了し護祈を乗せた装甲車と合流すると別の個所に向かった他の車両と合流して基地へと帰った。
「今日は天気も良かったのに護祈はヘリとかで移動しないのか? 夜間だからか?」
「巨躯に発見され攻撃を受けて落とされたら危ないだろ。バリアだって信頼できる強度があるわけじゃないんだし「低空を飛ぶのは技術がいるんだぞ、なにいってんだ」
基地に戻る頃にようやく空が白みだす。
日が昇ってからハクマは大男や双子とともに基地の本部へと連れていかれる。
そこでは昨日捕まえた巨躯との戦闘エリアに侵入したものらの取り調べを受けていた。
機械の質問に答えるものと個別に話を聞かれているものたち。
「こんなこともしてるんですね、防衛隊の仕事なんですか?」
「軽い質問だけだけどな。都市には都市の、都市間をつなぐ道路には道路の、巨躯には巨躯の管轄で一度防衛隊で三川炉預かっている」「その後は都市に引き渡す、あくまでここでは侵入したものらに注意を行うだけで罰は都市で裁かれ下される」
「なんか昨日の忙しさからは人数が少ない気が?」
「情報局のやつらは都市で取り調べを受けている。無線の傍受やらドローンジャマーなどの道具の出所を調べてるんだ、都市でも違法品だからな」「あと都市につてがあるやつもここにはいない。そいつらが重要だってのにこいつらに取り調べしても無駄な時間が過ぎていくだけだ」
「どうしていないんですか?」
「上の人間と取引してるからだよ、捕まえる前からもし捕まっても彼らが解放されることは決まっている」「罰が与えられないから同じことが繰り返されるだからいつまでたってもなくならない」
「ここで俺は何をするんですか?」
「とくには、昨日捕まえたやつの様子を見に来ただけだ。ラショウさんがお前を引き取ったはいいけど、こっちは人手が足りているし特にすることはない」「ラショウさんに時間ができて、お前の話を聞く時間が取れるまでお前にはラショウさんの指示で護祈について知ってもらう」
しばらく見て回るとハクマは次の場所へと連れていかれる。
軽装甲車に乗せられ基地を出て昨日戦闘があった場所へと向かった。
夜に巨躯出現に伴い通行止めを行って待機していた場所からさらに進み巨躯と護国獣の戦闘があった場所。
「もう通行はできるんですね」
「巨躯さえいなければ問題はないからな」「アースライトは自然に分解し巨躯も爪痕だけを残して消える」
抉れた地面や崩れた廃屋、倒れた木々が見え始め大きな塊が争った形跡がそこかしらに見て取れた。
道路の端には防衛隊の車両や情報局の中継車などが止まっている。
「これだけ破壊された痕跡があるのに道路は無傷なんですね」
「そんなわけないだろ。アースライトで道路を修復して経済を停滞させないようにしている」「ちゃんとした修復は通行量の減る夜間だ」
「この道路はアースライトで作られた道、すごいですね」
「さぁ着いたぞ」「しっかり働けよ新人」
車両を降ろされるとスコップとタオルを渡された。
「日没には迎えに来る」「じゃぁな、しっかり働けよ」
目の前には巨大な穴、遠目で見ると巨躯か護国獣の足跡の一つ。
「何を呆けているんだ、時間は限られているんだぞ」
背後から声が死振り返れば大男がスコップを持って立っていた。
「これを埋めるんですよね? 手作業でやるんですか? 重機とかは……?」
「他の個所の修復で手一杯だ。道路に近い山や川なんかを抉られたらそちらが優先される」
「これって護祈のサポートチームのすることなんですか」
「いいから手を動かせ。口ばかり動かしていても進まないぞ、それに護祈が俺たちのために戦ってくれた場所だ俺たちで元の姿に戻すのは仕事同行ではなく当然の事だろう」
山に空いた穴や抉れた地面を見渡すと、スコップを持ちハクマは地面に空いた大穴に向かって歩き出す。




