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護国獣 5






映像の中でリポーターは騒がしく同じ単語を繰り返しており、止めるものが居なくなって町は巨躯の足跡を刻みながら時折背中の柱を爆破すさせて人工物を破壊していく。

ユウスイが止まらない巨躯の進行を映している動画を進める。


「なんで、向こうには防衛隊がいないんですか?」


早回しにしている動画を止めるタイミングを見計らっているユウスイを見て、咳払いそしてルツキが口を開いた。


「戦車や航空機の攻撃が通じないからよ。この国の防衛隊もスケール3クラスの巨躯には何もできないのは、ちょうどよくこの間見たのよね」

「でも、弱点をつければ時間をかければ倒せなくもないと聞きました」


なぜと訊ねるハクマにルツキは得意げに答える。


「そうね、でも巨躯ならスケールの低い巨躯なら町に到達する前に倒せる。今回は町のそばに出現したみたいだけど、ユウスイさっきの戦闘は巨躯が現れてどれくらいがたってたの」

「40分、この国では怒られたけど。向こうは土地が広大だからアースライト製のジェット機運用が当たり前」


「という事よ。戦車とヘリを一戦闘ごとに合計70台も動かすなら飛行機一台を飛ばしたほうがコストパフォーマンスがいいと考えたんでしょう」

「人件費も安く済む。といってもこっちは防衛隊が避難誘導とインフラの復興企業を抱え込んでいるから仕組みが違うんだけどね」


準備が整うまでお茶を飲んだり資料に再度目を通したりして、ゆっくりしていたメノウ、カヅキ、レオの三人はルツキとユウスイの説明を聞きながら談笑していた。


「楽しそうねぇ二人とも。定期的に誰か新人を手伝いに雇えるよう打診してみようかしら~」

「ユウスイはともかくルツキちゃんには数少ない得意分野だからね。僕らはすでに知ってることだし、新人のハクマ君に説明できるのが楽しいんでしょ。……というか隊長は起きてる? 目開いたまま寝てない? ずっと静かだけど」

「今は仕事中だ、仕事に関係ない話なら注意はする。仕事の話だから特にいうことはない。ユウスイの動画もスケール4のことを知るには貴重な資料だから特にいうことはない」


「だけど、スケール4とは言え袋叩きの様子を見せられても~、得られるものはない気もするのですけど~。囲めば勝てるのは~護国獣もそうですしぃ」

「向こうは大迫力だね。規格化された素体に、それぞれの護祈の能力を発揮できる特徴を盛りつけた護国獣と違って、一つ一つがオーダーメイドなんだ。愛国心と主張強めのカラーリングや人工物のようなものがあるけど、ぱっと見だと巨躯と見分けがつかないね」

「護国獣は正規品と試験的に作られた試作品を含めて効率化で作られているからな。一人一人の健康状態の調査と変身用のペンダントやブローチのメンテナンスにかかる時間が少ないのが特徴だ。向こうの状況に合わせて即席でアップグレート、ダウングレードする方式とは違う」


「向こうは人型がいるのね」

「上から見えない力で吊るされてない? 縦長二本足はバランスが取れないってのは聞いたことあるけど解決の仕方が吊るすって……ふら~って水平移動してるし幽霊じゃん。あ、でも建物を踏みつぶさない点ではありかもなのかも」

「人が頂点ってのを示したいのか、どの国も型が霊長類に固執する傾向はあるな。まぁ、動かすのが人間だから、人に近い形の方が機敏に動かしやすいのは確からしいが。前にルツキの健康診断の時に研究所で小耳にはさんだ」


「人型になってたかもしれないのね~」

「シルエットが三角形になるのがバランスがいいらしいけど」

「足を太く短くすれば人型でもなりたつぞ、その分移動速度は遅いらしいが」


動画の早回しが終わったユウスイが席に戻る。

始まった動画はより画角の良いカメラに代わり町から離れた荒野、戦力を整えた4体のジャイアントガーディアンが待ち構える防衛線。

先の二体と同じ個性的な見た目の巨体たち。


スケール4の攻撃を受けないように距離をとり取り囲むように大きく砂煙を上げて移動を開始する。

映像は激しく乱れるが一斉攻撃が行われたようで、攻撃を受け巨躯は内側から輝きだし大爆発とともに消えた。

動画の再生が止まりユウスイが画面を元に戻す。


「終わった?」

「うん終わり」


「あんまり参考になることはなかったわね。行動も単純だったし、他の国の防衛の様子を見られたのは貴重だったけど」

「でしょ、一度ルツキに見せておかないとと思って」


「他の国の護国獣を?」

「他の国では巨躯との戦闘で普通に犠牲が出てると」


「ああ、そういう事ね……別に言われなくても」


レオが話を戻すようにいさめるとユウスイは慌てて今回の戦闘についての解説を始めた。


「今回現れたスケール4は出現から4時間ほどで討伐。被害は先ほど述べた通りで、向こうのジャイアントガーディアン6体が戦闘に参加した。都市に被害はなくすでにいつもの日常をおくっています」


「何事もなかったようにですか? 街が蹂躙さえたのに」

「都市じゃないからね。数は大きいけど影響はそこまで大きくないよ」


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