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護祈 5

「今日のこれ、炎骨骸爪と岩鬼砕牙の戦闘シミュレート、どうしたらいいかわからないのだけど一人じゃムリゲーじゃない? どうやっても都市が燃える」

「仲間を呼びなさい、お姉さま方ならすぐ来てくれるわ。護国獣の能力は把握してるでしょ」


「スキルと能力値を覚えるのは得意だからね。んじゃ聖龍爆甲で炎骨骸爪の方を」

「ちょっとちょっと! ヒレンお姉さまは聖録の方を守っているからそんなすぐには呼べないわ」


「うるさいなぁ、細かいことは気にしなくていいんだよ。シミュレートは本来は無い状況でどう行動するのが最適かを判断するかを見るんだから」

「良くないわ! 遠方からの移動はそれだけでストレスが!」


ルツキとユウスイ二人の会話が白熱し、デスクで報告書をまとめていたレオがため息をつく。


「一度休憩にしよう。メロウ、皆に茶を入れてくれるか」

「了解、今日はどのハーブティーにしましょう~」


隊長の指示で皆がデスクから離れテーブルの方へと移動する。

メノウとルツキはキッチンへと向かい湯を沸かし冷蔵庫からケーキを取り出し切り分け始めた。


「あの二人は仲がいいんですね」

「同い年だからね。仕事仲間というより友達感覚なのかなぁ、時間があるときはよく一緒にいるよ。ルツキはここから出られないから、ユウスイが屋内での過ごし方を教えているといった感じかな」


「やっぱり護祈は非常時に備えて常に待機していないといけないからですか?」

「勉強熱心だね。そうだね、それもある。まぁ、僕は護祈の生活がどれくらい許されてるかそれほど詳しいことは知らないんだけどね」


「一応はここに来る前に護祈についての説明は受けていたんですけど、実際に合うと違うところもおおくて」

「人それぞれだからね」


準備が整い皆でそろって休息。


「もうすぐ一週間たつけどハクマ君はもうここ慣れた?」

「本来の仕事はまだ一度しかしてないですけど、他の仕事は前にやっていたのと変わりがないので」


唐突な警報に皆が天上のスピーカーに顔を向ける。


『巨躯出現、巨躯出現! 想定されているスケールは3以上です。出現個所は春瀬沖で現在陸地へとむけて移動中。防衛隊は直ちに出動、現場に向かってください!』


放送は繰り返されるが一度聞いた時点でレオは立ち上がり指示を出す。


「聞いたな! 総員、出動準備!」

「今日は屋上に向かってティルトローターで飛んでいくよ!」


レオの号令に皆が一斉に行動を起こし、駆け足でカヅキが壁にかかっていた鍵を手に取り先に部屋を出ていった。

ルツキは自分の礼服を身に着けに部屋へと戻りメロウとハクマもユウスイを残して部屋を出ていく。

レオは階段を上がっていき自室にメロウはルツキを迎えるため部屋の方へと歩いていった。


「ハクマ君は先に乗っていて~」

「わかりました」


倉庫の屋上にはティルトローターが一機とまっており、すでにプロペラが回っている。

すでにいつでも飛び立てる準備が整っており遅れて純白の服に身を包んだルツキとメロウがやってきて乗り込む。


「よし、皆乗ったな。カヅキ、迎え!」

「了解」


ティルトローターは高く昇った太陽の下、巨躯の現れた地域へと向かって移動していた。

八車線の大きな道路沿いを進み海が見えてくる。

無線でユウスイから追加の情報が入ってきた。


『巨躯の名は脈晶砕地とつけられました。現在同じく脈晶砕地の予想進行ルートに向かっている護国獣、影刃青輝、正龍爆拳との共闘になります。護祈は現在巨躯の予想上陸地点へと移動中。今回は生き物の形じゃないね逆さまにした貝殻みたいな形してる』

「エイアお姉さまとの共闘ね。私は引き付ければいいのかしら」


ルツキは他の護祈との共闘に表情が緩む。

戦闘区域近くに入ったようで無線が巨躯との戦闘の様子をとらえる。


『現在海上部隊と航空機部隊が交戦中。6口径、18口径、ともに外皮にダメージなし』

『発光器官はどうだ』


『バリアーのようなものが発生しており直撃前に何かに弾かれます』

『そこが弱点だ、構わないその部分へと攻撃を続けろ』


『了解』


ティルトローターが進む先がちかちかと光っていた。

海上を動く影の周りに小さな影が飛び回っていて、近づくにつれそれが機体の両脇に大砲を吊り下げている戦闘ヘリだと確認できるようになる。


「蜻蛉2-2型の攻撃が通じていないみたいね」

「到着までに情報を集めてくれてるんだ、助かるよ。さて公園が見えてきた、そろそろ着陸するからルツキちゃん降りる準備して」


巨躯の姿はまだ白んでよく見えないがカヅキの操縦で高度と速度を落とし始めた。


『戦車隊、巨躯射程圏内』

『攻撃を開始せよ』

『全車攻撃、あのデカブツの進路を曲げさせろ』


岸で待ち構える戦車隊の一斉射が巨躯へとむけて放たれ直撃と同時に眩しい閃光が走る。

ティルトローターは着陸場所へとむけて旋回し、ハクマは近くの窓から見えるようになったぼんやりと見える巨躯を見て息をのんだ。


「どうしたのハクマ君、怖くなってきた~?」

「すごい光景だとおもって、今まで見た巨躯との戦闘であんなに戦闘車両が出動したのは見たことがない」


攻撃が続くが巨躯が速度を緩めているようには見えない。


「スケール3ならこのぐらいでしょ。内地で榴弾砲と戦闘車両が待ち構えてるはず。さてじゃあ行ってくるわ。戦闘後に会いましょう」


地面のつくとルツキが扉を開けて地面に降りたち皆に敬礼をして離れていく。


「行ってきます」

「ああ、勝ってこい」


開かれたドアをメロウが閉める。


「それじゃあ僕らは、後方に避難するね」


小さくなっていくルツキを眺めていると光だしその光が大きくなっていく。

巨大化した光が形を持っていき輝きが消えるとそこには一体の護国獣が立っている。

影刃青輝は皆がちゃんと離れたかを確認するように一度振り返ると身を低くし走り出す。


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