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筆頭魔術師 メイソン

 エイダンとリリアンはメイソンを探し、研究室を訪れた。


 丸眼鏡をした細い目の、神経質そうな痩せた高身長の男がふらつきながら出てきた。この男こそまさしくメイソンである。顔色は少し悪く、目はいつもより一層鋭く、サラサラストレートな髪がボサボサであった。


「メイソン、また徹夜か?倒れたら大変だから、しっかり休めよ。

 ところで、マリーヌに変身薬を飲ませたんだけど、変身薬を追加でたくさん飲んでしまったみたいなんだ。量が多いと、何か影響はあるかい?」


「ああ、今日はサプライズの日か。マリーヌが、あの薬を飲んだところを笑ってやろうと楽しみにしていたんだ‼ その抱いている猿はリリアンか? マリーヌと違ってリリアンは猿になっても可愛いじゃないか!

 え?追加でたくさん??飲む量が多いと、変身が早まって苦しくなるぞ。」


 メイソンは研究者気質で、徹夜もよくあることである。研究に夢中になって、ついつい、寝食を忘れてしまうのだ。

 そして、人の不幸(特にマリーヌ)の不幸が大好物であった。何とも捻くれてる男である。

 リリアンは優しいから好きなのである。恋愛感情ではなく、妹的な存在として。


「そうなのか!それじゃ、マリーヌは夜中に猿になってしまった可能性があるな。探さないと…。」


「もしかして、苦しくて毒を盛られたと思ったんじゃないか?」とメイソンが怪しむ。


「そんなわけないだろう。マリーヌはみんなから好かれている。毒を盛るなんて思うわけがない。今日がサプライズだから仕込みだと少し考えればわかるんじゃないか。」

「ウキ―!」リリアンもそんなことはないと否定した様子で反論する。


「フンっ、兄バカが過ぎるんじゃないか?マリーヌは生意気だぞ。少なくとも俺は嫌いだ。」


「全く、メイソンはいつもそうだな。何だかんだ、2人でいるときは仲良く口論しているじゃないか。」

「ウキウキ」そうだ、そうだとリリアンも頷く。


「お前、あれを、仲が良いなんて見る目がないな。あいつの才能もまぁまぁいい線はいっているが、俺には及ばないな。」


 メイソンはマリーヌともエイダンとも幼馴染のように育っており、遠慮がない。お互いに稀代の天才だと豪語しており、マリーヌへの物言いは厳しい。


「あいつはプライドが高いからな。猿になった姿を見られたくなくて、隠れてるんじゃないか。猿を見かけたら、散々馬鹿にした後で、連絡する。」とメイソンが言う。


「ありがとう。馬鹿にしたら、爪で引っかかれるぞ。気をつけろよ。急いで、他のところも探してみるよ。」

 と、エイダンは笑いながらその場を離れた。

 この時は、まだエイダンには余裕があった。生粋のお嬢様であるマリーヌがまさか、城外に逃げているとは思いもしなかったからだ。


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